2026-05-02 コメント投稿する ▼
温室ガス衛星「いぶきGW」で日米共同観測 トランプ政権離脱後も科学協力を継続 来春にもデータ公開へ
気候変動の原因となる温室効果ガスを宇宙から観測する精度を高めるため、環境省と米航空宇宙局(NASA)などによる日米共同プロジェクトが本格的に進んでいます。2025年6月に打ち上げられた日本の温室効果ガス観測衛星の3号機「いぶきGW」のデータを、日米の航空機と地上の14地点で観測した実測値と照合・検証するもので、2026年3月には東京・名古屋・大阪などの大都市上空でフライト観測が実施されました。データ解析は国立環境研究所が担い、来春にも一般公開される予定です。トランプ政権がパリ協定から再離脱した状況下でも、2015年締結の日米覚書を根拠に科学協力は維持されています。
「いぶきGW」が宇宙から地球の温室ガスを観測 3日周期で全球を網羅
2025年6月29日、日本の温室効果ガス観測技術衛星の3号機「いぶきGW」(正式名称:GOSAT-GW=温室効果ガス・水循環観測技術衛星)が打ち上げに成功しました。
「いぶきGW」は3日周期で地球全体を観測し、温室効果ガスの主要な種類である二酸化炭素(CO₂)、メタン(CH₄)、大気汚染物質の二酸化窒素(NO₂)の濃度を宇宙から精密に測定できます。
さらに、排出量の多い大都市や発電所、工場といった施設を個別に識別する機能を備えており、これまでの衛星では難しかった「どこから、どれだけ排出されているか」を特定する能力が飛躍的に高まっています。
1号機「いぶき」は2009年の打ち上げ以来16年以上にわたって観測を続けており、日本の温室ガス観測衛星シリーズは世界的に高い信頼を得ています。
日米が航空機・地上データで衛星データを検証 精度向上が焦点
「いぶきGW」のデータは宇宙から取得されるため、精度を高めるには航空機や地上で観測した実測値との照合が欠かせません。
環境省とNASAなどによる共同プロジェクト「Tokyo-Field Campaign(TOKYO-FC)」では、2026年3月に東京、名古屋、大阪などの大都市上空で日米の航空機によるフライト観測が約10回ずつ実施されました。地上データは札幌市や神戸市など14地点で取得したものを使用しています。
収集したデータは国立環境研究所で衛星データと照合・比較され、測定値のばらつきやズレ(不確かさ)を特定する検証作業が進んでいます。環境省はこれらのデータを2027年春にも一般に公開する方針です。
「日本の宇宙技術が気候変動対策に活きているのは誇らしい」
「排出源を個別に特定できるのは重要。企業の開示と比較できる仕組みに使えそう」
「トランプ政権が離脱しても日米の科学協力が続いているのは心強い」
「途上国が独自に計測できない中、衛星データを提供する意義は大きいと思う」
「科学的なデータが政策に活かされる仕組みが重要。測るだけでは意味がない」
トランプ政権下でもNASAと連携 2015年締結の日米覚書が土台に
今回のプロジェクトは、2015年に締結された「日米宇宙協力に関する枠組み協定に基づく実施取り決め」を根拠として実施されています。
2026年1月、トランプ政権が気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から再び離脱し、関連予算の大幅削減を発表したにもかかわらず、今回の日米共同観測は滞りなく実施されました。
トランプ政権の政治的判断に左右されない科学的な日米連携が維持されていることは、気候変動対策において重要な安全弁として機能しています。2026年3月の共同観測開始に伴う記者説明会で、NASAの担当者は「科学は大変重要だ。温室ガスの長期的な測定を続ける必要がある」と強調し、政治動向とは一線を画した取り組みを継続する意思を明確にしました。
途上国への衛星データ提供も視野に 国際的な排出量把握の精度向上へ
気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」は、全ての締約国に年間の温室ガス排出量を算定して国連に報告することを義務付けています。しかし、技術や資金が十分でない途上国が独自に精度の高い観測を行うのは非常に困難です。
環境省は「いぶきGW」の衛星データをこうした途上国に積極的に提供・活用を促す方針を掲げており、宇宙から世界中の温室ガスを透明性高く把握する体制の構築を目指しています。
日本独自の観測衛星技術と国際科学協力の組み合わせは、地球規模の気候変動対策において日本が担える貴重な役割を体現しています。2027年春以降のデータ公開が、国内外の気候政策にどのように活用されていくのか、今後の取り組みが注目されます。
まとめ
- 日本の温室効果ガス観測技術衛星「いぶきGW」(GOSAT-GW)が2025年6月29日に打ち上げられ、二酸化炭素・メタン・二酸化窒素を3日周期で全球観測している。
- 大都市や発電所など排出源を個別識別する機能を持つが、精度向上のため日米共同のデータ検証プロジェクトが進められている。
- 2026年3月、東京・名古屋・大阪などの大都市上空で日米の航空機によるフライト観測が約10回ずつ実施され、地上は札幌・神戸など14地点のデータを活用している。
- データ解析は国立環境研究所が担い、2027年春にも一般公開される予定。
- トランプ政権が2026年1月にパリ協定から再離脱し関連予算を削減した中でも、2015年締結の日米覚書に基づき科学協力は継続されている。
- NASAの担当者は「科学は大変重要だ。温室ガスの長期的な測定を続ける必要がある」と強調した。
- 環境省はデータを技術・資金力が不十分な途上国への活用促進にも役立てる方針で、国際的な排出量把握の透明性向上に貢献する。