2025-10-23 コメント投稿する ▼
「日本維新の会」大阪で定数削減&カジノ推進が問う“暮らし破壊”の構図
大阪府・大阪市を拠点とする日本維新の会(維新)が掲げる「議員定数の1割削減」や「身を切る改革」が、実際には住民の声を切り捨て、暮らしを犠牲にしてきたという批判が強まっています。
“暮らし壊し”の現場、なぜ? 日本維新の会の大阪・“ドロ船連立政権”構図
大阪府・大阪市を拠点とする日本維新の会(維新)が掲げる「議員定数の1割削減」や「身を切る改革」が、実際には住民の声を切り捨て、暮らしを犠牲にしてきたという批判が強まっています。維新は自民党との連立の“絶対条件”として国会議員定数削減を掲げていますが、その大阪での実績をあらためて紐解くと、改革の名のもとに「多数派支配」「民意軽視」「財源の大型開発偏重」といった構図が浮かび上がります。
維新代表の吉村洋文氏は「議員定数削減は維新の『身を切る改革』の原点。大阪で府議会の定数削減をやり、財政を立て直し、いろんな改革をやってきた」とテレビ番組で語りました。しかし大阪府議会は、定数が109人あったところから2011年に88人、さらに2023年4月の選挙から79人に削減されました。
その一方で、大阪市議会でも2023年に81議席から70議席への削減が条例で決まりました。
こうした定数削減が進むなか、維新は有権者比で約2~3割の得票しかなくても議席の6割以上を獲得するという議会支配体制を実現しています。議会定数を削ることで多数派が、より強固な支配を築く仕組みとなっているのです。
このような議会支配の下、“暮らし”を支える医療・教育・地域社会の制度が揺らぎ、逆に大型開発・カジノ・万博といった“不要不急”と批判される政策に行政資源が傾いているという疑念が出ています。
大阪府議会・大阪市議会定数削減が「民意切り捨て」に
大阪府議会定数削減の過程では、1票の格差が拡大し、選挙区が1人区へと急増しました。具体的には、2022年2月、府議会で定数を88人から79人へ9減させる案が維新・自民・公明の賛成で強行可決されました。
この削減案に対し、元々反対を唱えていた政党や市民団体は「議会のチェック機能が弱まる」「多様な民意が届けられなくなる」と警鐘を鳴らしています。
大阪市議会でも同様に、2023年6月9日、本会議で定数を81から70に削減する条例改正案が審議時間僅か22分で可決されました。反対討論では「住民の声が届かなくなる」「削減なら議員報酬を下げるべきだ」という批判が出ています。
定数削減により議員一人あたりの市民数が増大し、少数意見が議会に反映されにくくなったという指摘もあります。大阪市議会定数削減案の報道では「議員1人あたり市民3万9千人という水準になる」という内容が報じられています。
こうした動きは、民主主義の根幹である「住民による議会を通じた政策へのチェック」が弱まるという批判を招いています。維新にとって「定数削減=改革」「多数派支配=効率」というロジックが優先され、民意の反映や反対意見を組み込むプロセスが省略されているという指摘もあります。
“大型開発ファースト” 夢洲のカジノ・万博が暮らしを圧迫
維新が大阪府・市政で掲げてきたもうひとつの柱が、人工島・夢洲を舞台とした大型開発です。ここでは2025年に予定される大阪・関西万博(Expo 2025)とカジノを中核とする統合型リゾート(IR)誘致が進められています。だがその陰で、府民・市民の“暮らし”や“地域経済”が後回しにされたという批判が出ています。
報道によれば、夢洲におけるインフラ整備費などは当初の見積もりから大幅に膨らみ、3400億円だったものが7500億円へと増加しています。多くが府・市の住民負担となる可能性が指摘されています。
カジノ誘致のために大阪市が約2700億円超の公費を投じているという指摘もあります。土壌汚染・液状化対策など「夢洲特有の課題」のために、当初不要だったはずのコストがかさんでしまったという報告です。
こうした状況にもかかわらず、維新は「財政を立て直した」と自負し、自由に使える財政調整基金が過去最高の約2500億円を超える見通しという情報を提示しています。しかしその背景には、法人税・消費税による増収分だけでなく、職員削減・医療・福祉削減などを通じて住民サービスを削るという手段が含まれています。
地域の医療崩壊も指摘されており、コロナ禍で全国最悪水準の感染者・死者数を出した大阪府では、病床削減・病院統廃合が進められたことが重大な責任だと報じられています。
教育分野でも、私立高校の授業料無償化を掲げつつ、府立高校の統廃合・定員削減が進むなど、実質的には教育条件の引き下げが進んでいるという批判もあります。こうした“暮らし”を支える制度を犠牲にして、大規模開発を優先する姿が「暮らし壊し」と言われる所以です。
さらに、維新が自民党と組もうとすることで、“ドロ船政権”“ドロ船連立政権”という言葉が使われる背景には、政党献金・大企業優位の政策優先といった国民不在の政治運営があるという見方があります。カジノ・万博開発は、ゼネコンやカジノ関連企業が潤う一方で、住民には負担だけが残るという構図が浮かび上がっています。
結論として、維新が掲げる「議員定数削減」「身を切る改革」「財政立て直し」「成長戦略」は、暮らしを支えるインフラや制度を削って大型開発先行という形で実行されており、多数派を基盤にして民意の多様性を削る議会改変や、住民の負担を伴う開発政策が一気に進んでいます。これは国政レベルでいうところの「ポピュリズム外交」のように、住民の実態や長期的な地域経済を顧みずに、政策をショー化・数値化して進める手法に似ています。
大阪でのこの実態を踏まえ、国会での定数削減を甘受することは、住民の声を欠いた“多数派の暴走”を制度として全国に広げることになりかねません。国政でも議員定数削減の議論が進む中、住民の声をしっかり反映させる制度設計と、暮らしを守る政策の優先順位を見直すべき時期に来ていると言えるでしょう。