2026-05-01 コメント投稿する ▼
中国系偽ニュースサイト、AIで情報操作の脅威…「ペーパーウォール作戦」の実態と将来リスク
日本国内で活動が確認されている中国系の偽ニュースサイトが、依然として稼働を続けていることが明らかになりました。 これらのサイトは、日本の地域メディアを装い、不自然な日本語で情報を発信することで、世論操作を狙っているとみられます。 その中で、日本国内で活動が確認された偽ニュースサイトは15件にのぼると指摘されていました。
偽ニュースサイトの不気味な実態
カナダのトロント大学マンク国際問題・公共政策研究所が2024年2月に公表した報告書は、中国が諸外国で展開する影響工作の実態を明らかにしました。その中で、日本国内で活動が確認された偽ニュースサイトは15件にのぼると指摘されていました。しかし、最新の調査によると、これらの15サイト全てが現在も稼働を続けていることが判明したのです。
これらのサイトは、「フジヤマタイムズ」や「日光ニュース」といった、あたかも日本の地域メディアであるかのような名称を使用しています。1日現在も、日本や米国、ロシア、韓国などに関する「ニュース」が掲載されていました。報告書では、韓国が17件で最も多く、次いで日本とロシアが15件で、中国による偽情報拡散のターゲットとなっている国が浮き彫りになりました。
巧妙化する情報操作の手口
偽ニュースサイトから発信される記事の多くは日本語ですが、その表現には不自然さが目立ちます。複数のサイトが同じ記事を共有しているケースも少なくありません。例えば、1日には多くのサイトで、「この僧侶はコンピューターゲームへの愛のおかげでソーシャル メディアのスターになった」という見出しの記事が掲載されていました。
この記事は、中国・安徽省の寺院に所属する「華陽尊者」という人物が、コンピューターゲーム好きが高じて有名になったという内容です。しかし、記事の文末表現には「である」調と「ですます」調が混在するなど、日本語として不自然な点が散見されました。また、4月13日に「日光ニュース」が報じた、米大リーグ・ドジャースの佐々木朗希投手に関する記事でも、「ドジャースの右腕ロキ・ササキ」といったカタカナと漢字の名称が混在するなど、読者を混乱させるような不審な点が多く見受けられました。
さらに、これらのサイトは中国中央電視台(CCTV)系のサイトが掲載した英文記事をそのまま転載することもあり、中国側との関連性を強く示唆しています。報告書は、こうした中国国内から運営されるウェブサイトのネットワークが、世界各国でローカルメディアを装い、親中プロパガンダや特定人物への人格攻撃といった偽情報を広めていると指摘。この作戦を「ペーパーウォール」と名付け、中国政府が民間企業(PR会社など)を利用してデジタル影響工作を進めている実態を明らかにしました。
AIによる将来的な脅威
2年以上も前から存在が指摘されていたにもかかわらず、これらの偽ニュースサイトがいまだに活動を続けている背景には、新たな脅威が潜んでいる可能性があります。偽情報や影響工作を専門とする一橋大学の鈴木涼平特任助教は、生成AIの悪用について警鐘を鳴らします。
海外では既に、生成AIが偽ニュースサイトの記事を学習し、その結果として偏った意見や偽情報に基づいて回答を生成してしまうケースが報告されています。「ペーパーウォール作戦」のような偽情報発信も、将来的には生成AIを通じて、より広範かつ巧妙な情報操作に利用される危険性が考えられるのです。AI技術の進化は、偽情報の拡散スピードと影響力を飛躍的に増大させる可能性があります。
情報リテラシーの重要性
中国による偽情報工作は、単なるデマの拡散に留まらず、国際社会における世論操作や、特定の国に対する不信感を煽ることを目的としています。こうした情報戦に対抗するためには、私たち一人ひとりが、受け取る情報を鵜呑みにせず、その信憑性を常に疑う姿勢を持つことが不可欠です。
発信元は誰なのか、どのような意図で情報が発信されているのか、事実に基づいているのか。こうした点を批判的に吟味する「情報リテラシー」を高めることが、偽情報に惑わされないための最も有効な手段と言えるでしょう。政府やプラットフォーマーによる対策も重要ですが、最終的には私たち自身の判断力が試されています。