2026-06-17 コメント投稿する ▼
群馬県、ベトナム人学生インターンシップで「人材確保」? 税金の無駄遣いではないか
具体的には、「ベトナム理系大学生インターンシッププログラム」という形で、ベトナムの大学に在籍する優秀な学生を群馬県に招き、県内企業での就業体験の機会を提供するというものです。
地域を襲う人材難と山本知事の「秘策
群馬県では、少子高齢化と若者の都会への流出が深刻化し、多くの地元企業が人手不足に頭を悩ませています。このままでは地域経済の停滞は避けられず、地域社会の存続すら危ぶまれる状況です。このような状況を受け、山本一太知事が主導する群馬県は、ベトナムからの人材確保に乗り出しました。具体的には、「ベトナム理系大学生インターンシッププログラム」という形で、ベトナムの大学に在籍する優秀な学生を群馬県に招き、県内企業での就業体験の機会を提供するというものです。
海外から人材を受け入れる動きは、昨今、多くの自治体で見られます。しかし、その導入には多額の費用や、異文化への理解、受け入れ体制の整備など、多くの壁が立ちはだかるのが現実です。特に、中小企業にとっては、新たな人材を受け入れるためのコストや労力は相当な負担となりかねません。群馬県が、こうした困難な課題に対し、どのような解決策を見出そうとしているのか、その真意を問う必要があります。
インターンシップの実態:企業任せの甘さ
今回、群馬県が募集を開始した「ベトナム理系大学生インターンシッププログラム」は、ベトナムの大学に在籍する3年生または4年生を対象としています。参加には、日本語能力がN3レベル相当以上、あるいは県が認めるレベルであることが求められます。実習期間は2週間から4週間と比較的短期間ですが、その半分を超える日数を就業体験に充て、学生の専攻分野に合わせた内容とすることが義務付けられています。
しかし、このプログラムの実施にあたり、受け入れ企業が負担しなければならない費用が非常に大きいことが問題視されています。具体的には、ベトナム人学生の日本への渡航費はもちろんのこと、日本での滞在にかかる費用、例えば宿泊費や食費なども、すべて受け入れ企業が負担するよう求めているのです。これは、人手不足に喘ぐ地元の中小企業にとって、新たな経営上の大きな負担となることは想像に難くありません。
さらに、「優秀な人材」という言葉の定義も曖昧です。N3レベルの日本語能力は、日常会話はある程度こなせるかもしれませんが、専門的な業務を正確に理解し、指示を遂行するには十分とは言えない場合も少なくありません。学生の専攻と企業の実習内容がどれだけマッチングするか、そしてそれが本当に企業の即戦力となり得るのか、その見極めは容易ではないでしょう。実習内容の決定も、学生の専攻を考慮することなどが求められていますが、企業側のニーズとの乖離が生じる可能性も否定できません。
税金の使途は適正か:目標不明確な「バラマキ
このプログラムの運営は、森興産株式会社という民間企業に委託されています。しかし、問題は委託先の選定だけではありません。この事業にどれほどの公的資金が投入されているのか、その詳細についてはほとんど明らかにされていません。さらに懸念されるのは、このプログラムが「ベトナム人に群馬県内企業を将来的な就職先や協業先として選んでもらう」ことを目指しているとされていますが、具体的な採用目標数(KGI)や、インターンシップ参加者のうち何割が卒業後に県内企業に就職するというような、明確な成果目標(KPI)が全く示されていないことです。
目標が曖昧なまま、企業が多額の費用を負担する形で外国人材を受け入れるというのは、実質的には税金を使った「バラマキ」と言わざるを得ません。地域経済の活性化や人手不足解消という名目であっても、効果測定が不可能に近く、その費用対効果が極めて疑問であるならば、それは単なる「親切ごっこ」に過ぎないのではないでしょうか。
本来、自治体が税金を投入するのであれば、その事業が地域住民にどのような利益をもたらし、どのような具体的な成果に繋がるのかを明確に示す必要があります。しかし、このインターンシッププログラムからは、そうした公的な説明責任が著しく欠如していると言わざるを得ません。
持続可能な地域振興への疑問
群馬県が抱える人手不足の問題は、確かに深刻です。しかし、その解決策として、場当たり的に外国人材の受け入れに頼ることは、根本的な解決にはなりません。むしろ、日本人労働者の雇用機会を奪ったり、賃金水準の低下を招いたりするリスクもはらんでいます。
地域社会への同化や、文化的な摩擦といった問題も、安易な外国人材受け入れにおいては軽視できません。「多文化共生」という言葉を掲げながら、実質的には地域住民の生活向上や、地元産業の持続的な発展に繋がらないのであれば、それは単なる美辞麗句に過ぎません。
真に群馬県の地域振興を図るためには、地元住民の雇用を創出し、その生活水準を向上させるための政策こそが優先されるべきです。また、県内産業の構造改革や、高付加価値化を推進し、国際競争力を高めることこそが、長期的な視点に立った持続可能な地域振興に繋がるはずです。
今回のベトナム人学生インターンシッププログラムは、その目的や費用対効果、そして県民への説明責任という点で、多くの疑問符がつきます。税金という貴重な財源が、無計画な「親切」のために浪費されることのないよう、厳しく監視していく必要があります。