2025-06-17 コメント: 3件 ▼
石破首相「給付金の方が減税より効果的」発言に賛否 消費税減税を再び否定、関税交渉も強調
給付金を優先、減税は慎重──石破首相の姿勢鮮明に
G7サミットを終えた石破茂首相が6月17日(日本時間18日)、カナダ・カルガリーで記者会見を開き、内政と外交の両面で注目される政策姿勢を語った。中でも焦点となったのは、参院選の争点ともなっている「2万円の給付金」と「消費税減税」の是非である。
石破首相は、「消費税減税には制度改正や国会審議などに時間がかかる。今すぐ物価高で困っている人に届く政策として、給付金の方がはるかに効果的だ」と強調。さらに「消費税は社会保障の大切な財源であり、軽々に減税してはならない」と述べ、減税に明確に否定的な立場を改めて示した。
「また給付金?その場しのぎはもううんざり」
「困ってるのは“毎月”の生活なんだよ。減税じゃないと根本解決にならない」
“スピード重視”を理由に減税回避、根本対策は?
与党・自民党が参院選公約に掲げる「全国民への2万円給付」案は、短期的な物価高対策として打ち出されたものだが、経済的実効性や公平性について疑問の声も少なくない。給付金は一時的な効果にとどまりやすく、制度維持のコストや事務作業の煩雑さが問題視されている。
これに対し野党各党は、物価高に対する恒久的対策として「消費税減税」を提案。特に立憲民主党は、消費税率を5%まで下げる案を掲げ、与党との違いを鮮明に打ち出している。
しかし、石破首相は「給付金の方がスピーディーに対応できる」として減税には消極的な姿勢を崩していない。この姿勢には、財務省寄りの財政規律重視の姿勢が色濃くにじむ。
「スピードが大事って、それ減税が無理な言い訳にしか聞こえない」
「一度きりの2万円より、毎月の支出が減る方が助かるに決まってる」
関税交渉は「国益を損なわずに」粘り強く
会見ではまた、日米関係の経済的課題として関税交渉についても触れた。石破首相は、G7期間中にトランプ大統領と会談を行ったものの、自動車への追加関税の撤廃には至らなかった。これを受けて、「今後も精力的に調整を続け、双方の利益となる形で合意を目指す」とした。
その一方で、「性急に妥協して国益を損なうようなことがあってはならない。ゆっくり急ぐことが大切だ」とも述べ、交渉のペースには慎重な姿勢を見せた。
米国は日本製自動車に対して25%の追加関税を課す可能性をちらつかせており、日本の自動車産業にとって大きな不安材料となっている。石破政権としては、通商交渉を通じた国内産業の保護が試金石となる。
「“ゆっくり急ぐ”じゃなくて、“今すぐ守れ”ってことだよ」
「自動車関税を撤廃できなかったのは痛い」
原油価格と物価対策、経産省に指示
さらに石破首相は、イスラエルとイランの交戦激化によって原油価格の上昇が懸念されることから、経済産業省に対して早急な対策の検討を指示したことも明らかにした。
エネルギー価格の高騰は、ガソリン・電気料金・物流費用を通じてあらゆる分野に波及する。これにより、再び物価全体が押し上げられる恐れがある。こうした状況下での「一律給付金」が果たして有効かどうかは、今後さらに議論の的となるだろう。
本来なら、価格高騰に応じた減税措置やインフラ整備への投資といった中長期的な戦略が求められる局面だ。
問われるのは「一貫性と将来設計」
石破首相が掲げる「即効性のある給付金」は、目先の危機をしのぐ手段ではあるが、長期的な経済再建のビジョンとしては物足りなさを感じさせる。財源の裏付けが薄いまま給付を繰り返せば、結果として将来的な増税圧力につながりかねない。
本当に必要なのは、「可処分所得を持続的に増やす仕組み」――つまり、減税と構造改革による家計の底上げである。とりわけ、消費税のように生活に広く影響を与える間接税の軽減は、分かりやすくかつ公平な政策として効果が高い。
今後の参院選では、「その場しのぎの給付金か、構造を変える減税か」という選択が、国民に突きつけられることになる。