2025-11-28 コメント投稿する ▼
辺野古新基地 大浦湾に土砂投入 完成見通しなく強行
2025年11月28日午後、沖縄県名護市辺野古で、米軍新基地建設のための埋め立て土砂が、埋立区域(いわゆる「(3)‑3区域」)に投入されました。 この区域は、これまで軟弱地盤の改良が課題とされてきた海域とは別ですが、地盤改良が完了していない状況での埋め立て強行には、工事の根拠や安全性を疑問視する声が相次いでいます。
大浦湾側で初の本格埋め立て
2025年11月28日午後、沖縄県名護市辺野古で、米軍新基地建設のための埋め立て土砂が、埋立区域(いわゆる「(3)‑3区域」)に投入されました。大浦湾側で埋め立て土砂の投入作業が行われるのはこれが初めてです。護岸で囲われた区域からダンプカーによる土砂投入が行われ、防衛省沖縄防衛局による工事が強行されました。
この区域は、これまで軟弱地盤の改良が課題とされてきた海域とは別ですが、地盤改良が完了していない状況での埋め立て強行には、工事の根拠や安全性を疑問視する声が相次いでいます。
工事は頓挫中 ― 地盤改良は大幅に遅延
政府は今年1月から砂くいを打ち込む地盤改良工事に着手しました。しかし6月以降、気象・海象を理由に地盤改良船が一斉に撤退、工事は半年近く中断しました。10月1日に1隻だけ戻りましたが数日で再撤退となり、11月25日に3隻が再び大浦湾に戻ったものの、現時点で打設の進捗はわずか約2900本にとどまっています。予定されていた約7万1000本には遠く及ばず、しかも軟弱地盤の深さは海面下最大90メートルに達するとのことで、現状の技術では改良の完遂は困難との指摘もあります。
こうした不透明な地盤改良状況にもかかわらず、防衛局は軟弱地盤のない新区域から土砂投入を始めました。だがこの手法は、地盤改良の実効性を棚にあげ、計画を前進させるための“既成事実づくり”として映る、との批判を受けています。
環境と地域社会への衝撃
大浦湾は希少なサンゴや多様な生物が生息する「宝の海」と呼ばれてきた海域です。今回の埋め立て強行は、自然環境や生物多様性を破壊する危険を抱えています。地元住民からは「基地が自分たちの住む地域に迫ってきた感覚」「税金の無駄遣い」との失望の声も上がっています。
海上で抗議行動を続ける市民団体の一人は、「この海に土砂を投入するのは胸が痛い。理不尽でも、行動をやめるわけにはいかない」と語りました。
また、沖縄県の玉城デニー知事は、埋め立て強行を受け「大浦湾での埋め立ては本格化する」と指摘し、工事の長期化や新基地完成の困難性を改めて強調。政府に対し、対話による解決を訴えました。
工事費膨張と完成見通しのなさ
この新基地建設は当初、総事業費9300億円、工期約9年3ヶ月と試算されていました。しかし計画の遅延、地盤改良の難航、資材・人件費の増加などにより、事業費がさらに膨らむ可能性が高まっています。しかも、軟弱地盤改良が完了せず完成の見通しが立たない現状では、新基地の完成や普天間基地の返還はまったく保証されていません。
地盤改良が遅れる一方で、埋め立てだけが進めば、「基地建設ありき」で進行しているとの批判が強まるのは必至です。国民の税金を海に投入するこの事業は、正当化できるのか――。沖縄の自然と住民生活、国の安全保障のバランスを改めて問われる重大な局面に入っています。
展望 ― 政府の狙いと反発の広がり
今回の大浦湾側への土砂投入は、11月20日の日米合同委員会合意に基づくもので、政府は埋め立てを「着手できる部分から順次進める」と説明しています。だが、その真の狙いは、来年1月の名護市長選をにらみ「もう工事は止まらない」という既成事実を積み上げ、反対の声を封じ込めることではないか、との見方もあります。
一方、環境保護団体や地元住民、さらには県政与党内にも反発は根強く、対話による解決を求める声は強まるばかりです。大浦湾の豊かな海と地域の暮らしを守るため、国はもっと丁寧に説明責任を果たす必要があります。今後、法廷闘争や県民の抗議、国内外の世論も含め、構造的な議論がさらに重要になるでしょう。
新基地建設の行き詰まりが明らかになるなかで、政府は環境破壊と住民感情を無視して工事を進めるのか。それとも、埋め立てを中断し、抜本的な見直しに応じるのか――沖縄と日本の将来が問われています。