2026-07-22 コメント投稿する ▼
ケアマネ処遇改善へ、自民議連が報酬引き上げを厚労相に要請
自民党の「介護・看護・福祉サービスを考える議員連盟」は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の処遇改善と、居宅介護支援事業所の基本報酬引き上げを厚生労働大臣に要望しました。 さらに、同議連は、ケアマネジャーの処遇改善に関する決議も行っています。 同協会も、ケアマネジャーの基本報酬の引き上げや処遇改善を求めており、今回の自民党議連の動きを後押しする形となっています。
ケアマネジャーの業務実態と処遇の課題
ケアマネジャーは、介護保険制度において利用者の心身の状況や希望に応じたサービス計画(ケアプラン)を作成し、サービス事業者との連絡調整などを行う、介護サービスの提供に不可欠な専門職です。しかし、近年の介護保険制度の改正や高齢化の進展に伴い、その業務は多岐にわたり、負担が増大しています。
具体的には、ケアプラン作成に加え、医療機関や関係機関との連携、モニタリング、給付管理、そして利用者や家族からの相談対応など、その業務は多忙を極めます。特に、高齢化が進む中で、複雑化・重度化する利用者のニーズに対応するため、専門的な知識や経験に基づいた判断が常に求められています。
こうした業務負担の増加にもかかわらず、ケアマネジャーの給与水準は、同じ介護分野の職種である介護職員などと比較して、必ずしも十分とは言えない状況が続いています。一部では、介護職員の処遇改善が進む中で、ケアマネジャーとの間に賃金の逆転現象が生じているとの指摘もあり、専門職としてのやりがいやモチベーションの維持、さらには人材の確保・定着において、大きな課題となっています。
自民党議連、処遇改善と報酬引き上げを提言
こうした状況を受け、自民党の「介護・看護・福祉サービスを考える議員連盟」(会長:上野賢一郎氏)は、ケアマネジャーの処遇改善に向けた具体的な提言をまとめました。2024年6月、同議連は厚生労働大臣に対し、居宅介護支援事業所の基本報酬の引き上げを強く要請しました。
これは、ケアマネジャーが担う業務の重要性や複雑化する業務内容に見合った対価が支払われるべきだとの考えに基づくものです。基本報酬が引き上げられることで、事業所の経営安定化につながり、結果としてケアマネジャー個々の給与水準の向上や、業務負担軽減のための人員配置、ICT化の推進などに資することが期待されています。
さらに、同議連は、ケアマネジャーの処遇改善に関する決議も行っています。これには、基本報酬の引き上げだけでなく、安全対策の強化や、介護職員との賃金逆転の是正といった、より包括的な処遇改善を目指す姿勢が示されています。こうした動きは、ケアマネジャーが安心して専門性を発揮できる環境整備の重要性を浮き彫りにしています。
介護支援専門員協会の見解と利用者負担への懸念
ケアマネジャーの職能団体である一般社団法人全国介護支援専門員協会も、同様の課題意識を共有しています。同協会も、ケアマネジャーの基本報酬の引き上げや処遇改善を求めており、今回の自民党議連の動きを後押しする形となっています。
一方で、協会は、ケアプランの有料化のような利用者負担の導入には慎重な姿勢を示しています。もしケアプラン作成に利用者負担が生じるようになれば、利用者がサービス利用をためらう、あるいは軽度者への支援が後退するといった懸念があり、結果として介護保険制度全体の利用抑制につながりかねません。協会としては、このような制度改定ではなく、まずはケアマネジャーの処遇改善を通じて、質の高いケアマネジメントを提供できる体制を維持・強化することを重視しています。
今後の介護報酬改定と制度設計への影響
介護報酬は3年に一度改定されており、2024年度の改定はすでに実施されましたが、次の改定に向けた議論はすでに始まっています。今回の自民党議連の要請や、介護支援専門員協会の提言は、今後の介護報酬改定における重要な論点となることは間違いありません。
特に、ケアマネジャーの基本報酬がどのように見直されるかは、全国約22万人にのぼるケアマネジャーの処遇に直結します。基本報酬の引き上げが実現すれば、ケアマネジャーのなり手不足の緩和や、経験豊富な人材の定着に貢献することが期待されます。
また、関連する議論として、2027年末にも結論が示される見込みのケアプラン有料化や、生活援助サービスの市町村事業への移管といった、介護保険制度の大きな枠組みに関わるテーマも進行中です。これらの制度変更が、ケアマネジャーの業務内容や役割、さらにはその処遇にどのような影響を与えるのか、注視していく必要があります。ケアマネジャーが専門職として持続的に活躍できる環境を整備することは、質の高い介護サービスを全国民が安心して利用できる社会を実現するための、喫緊の課題と言えるでしょう。