2026-06-29 コメント投稿する ▼
2026年度介護報酬改定へ、ケアマネ協会は基本報酬と処遇改善のW引き上げを要求
介護サービスの根幹を支えるケアマネジャーの専門職能団体である日本ケアマネジャー協会が、2026年度に予定されている介護報酬改定に向けて、事業所の「基本報酬」と「処遇改善加算」の双方を引き上げる方針を固めました。
介護現場の人材不足、喫緊の課題
現在、介護現場はかつてないほどの厳しい人材不足に直面しています。高齢化の進展に伴い介護サービスの需要は増加の一途をたどる一方で、労働条件や待遇への不満、過重な業務負担などから、離職する介護職員が後を絶ちません。この状況は、サービスの質の低下や、場合によっては利用者が希望するサービスを受けられない事態にも繋がりかねません。特に、ケアマネジメント業務を担うケアマネジャーは、利用者や家族、医療・福祉サービス事業者との調整役として多忙を極め、その専門性に見合った評価が十分でないとの声も上がっています。
ケアマネ協会の要求:基本報酬と加算の双方引き上げ
こうした状況を踏まえ、ケアマネ協会は2026年度の介護報酬改定において、介護サービス事業所の基盤となる「基本報酬」の引き上げと、直接的な賃上げに繋がる「処遇改善加算」の拡充を、両輪で求めていく方針を打ち出しました。基本報酬の引き上げは、事業所の経営安定化に寄与し、十分な人員配置や質の高いサービス提供のための基盤強化に繋がることが期待されます。これにより、介護報酬がサービス提供コストに見合わないという根本的な課題の解決を目指します。
一方、処遇改善加算の拡充は、介護職員一人ひとりの給与水準の向上に直結します。これまでも処遇改善加算は実施されてきましたが、その効果が必ずしも十分な賃上げに結びつかず、人材確保や定着に繋がりにくいという指摘もありました。協会は、加算の対象範囲を広げ、より多くの介護従事者が恩恵を受けられるよう、制度の改善を求めています。
報酬改定を巡る議論の現状
介護報酬改定は通常3年に一度行われますが、介護人材の処遇改善を急ぐ声を受け、2026年度には「臨時改定」あるいは「期中改定」といった形で、追加的な報酬改定が行われる可能性も議論されています。社会保障審議会・介護給付費分科会などでは、現行の処遇改善加算をさらに拡充し、これまで対象に含まれていなかった訪問看護ステーションやケアマネジメント事業所なども含めるべきではないか、という意見も出ています。
ケアマネ協会が基本報酬と処遇改善加算の「双方」の引き上げを求める背景には、それぞれの役割と限界があります。基本報酬だけでは、事業所の経営体力を根本的に強化することは難しく、十分なサービス提供体制を維持できない可能性があります。逆に、処遇改善加算のみの拡充では、一時的な賃上げに留まり、事業所の継続的な経営安定化や、介護報酬制度全体の持続可能性に課題が残ります。このため、協会は、経営基盤の強化と現場で働く職員の待遇改善という、二つの側面からのアプローチが不可欠であると考えています。
今後の展望と影響
ケアマネ協会の要求がどこまで実現されるかは、今後の政府や厚生労働省、そして介護給付費分科会での議論にかかっています。介護報酬の引き上げは、介護サービスの質向上や人材確保・定着に大きく貢献する可能性がありますが、その財源をどう確保するかが大きな課題となります。報酬引き上げに伴う利用者負担の増加や、現役世代への負担増といった点も考慮しながら、社会全体で持続可能な介護システムを構築していく必要があります。
今回のケアマネ協会の動きは、介護現場の厳しい実情を代弁し、政策決定者に対して具体的な改善策を提示するものです。基本報酬と処遇改善加算の両面からのアプローチが、介護業界全体の底上げに繋がり、利用者、事業者、そして働く人々にとってより良い未来を築くための重要な一歩となることが期待されます。
まとめ
- 日本ケアマネジャー協会は、2026年度の介護報酬改定において、基本報酬と処遇改善加算の双方の引き上げを求めている。
- 背景には、介護現場における深刻な人材不足と、ケアマネジャーを含む介護職員の処遇改善の必要性がある。
- 基本報酬の引き上げは経営安定化、処遇改善加算の拡充は直接的な賃上げと人材確保・定着を目的とする。
- 2026年度には臨時改定の可能性もあり、訪問看護やケアマネ事業所への処遇改善対象拡大も議論されている。
- 報酬改定の財源確保や利用者負担増などが今後の論点となる。