看護師・医師の紹介手数料が年900億円超え 病院経営を圧迫、ハローワーク強化へ

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看護師・医師の紹介手数料が年900億円超え 病院経営を圧迫、ハローワーク強化へ

医師・看護師などの採用を民間の人材紹介業者に頼る医療機関が増え続ける中、2024年度に支払われた紹介手数料は全国合計で881億円に達しました。手数料は採用された職員の年収の20〜30%が相場で、看護師1人につき100万円、医師では平均336万円に上る場合もあります。日本医師会(日医)は2026年3月に上限規制の導入を厚生労働省に求めましたが、厚労省は慎重な姿勢を崩さず、2026年度はハローワークの機能強化で対応する方針を示しました。保険料や税金で賄われる診療報酬が仲介業者へ流れ続ける構造に、財務省も懸念を示しています。

紹介手数料が5年で急増、医療現場を直撃


医師や看護師を確保するために民間の人材紹介業者を利用する医療機関が増え続け、支払う手数料が急速に膨らんでいます。厚生労働省の集計によると、2024年度に国内の紹介業者に支払われた手数料は、医師で283億円、看護職で598億円、合計881億円に達しました。

2019年度と比べると、医師向けは約3割、看護職向けは約6割もの増加です。介護職を含めた医療・介護分野全体では2023年度時点ですでに1061億円規模に達しているという指摘もあります。

手数料の相場は採用された職員の年収の20〜30%とされており、看護師1人で約100万円、医師では平均336万円に上ることもあります。本来であれば医療の質の向上や医療従事者の処遇改善に充てられるべき財源が、仲介業者へ流出し続けているのが実態です。

病院が赤字に転落、「やむを得ない」という現実


東京都内のある中規模病院では、2025年に看護師ら31人を紹介業者を通じて採用しました。当直医の確保も含めると手数料の総額は約4000万円に上り、物価高や既存職員の賃金引き上げとも重なって赤字を計上しました。

診療報酬(病院が提供する医療サービスへの対価として国から受け取る報酬)は看護師の配置数によって増減する仕組みです。看護師が足りなければ収入が直接下がるため、採用は欠かせません。しかしハローワークに求人を出しても応募はほぼなく、中途採用の8割を紹介業者に依存せざるを得ないのが現状です。同病院の担当者は「手数料の支出を削減して赤字を圧縮したいが、難しい」と語ります。

問題はコストだけではありません。看護職の採用後6か月以内の離職率は10.5%、介護職では15.3%と他の業種を大きく上回っています。「高い手数料を払って採用→早期に離職→また紹介業者へ」という負の連鎖が繰り返されており、病院の100床あたりの紹介手数料は2023年度の654.8万円から2024年度には706.6万円へと1年で7.9%増加し、医療法人に限れば843.5万円にまで達しています。

「ハローワークに出しても誰も来ない。紹介会社に頼るしかないのにコストが重すぎる」
「高い手数料を払って採用しても半年で辞められることもある。二重の痛手だ」
「地方の小病院はもっと深刻。紹介会社を使う体力もなく、慢性的な人手不足のまま」
「看護師の収入の一部が紹介会社に中抜きされているような感覚があって釈然としない」
「保険料や税金を元手にした診療報酬が仲介業者に流れ続ける仕組みを根本から変えてほしい」

日医が上限規制を要請も、厚労省は慎重姿勢


日本医師会(日医)と四病院団体協議会は、2025年9月にワーキンググループを立ち上げて問題を検討し、2026年3月に報告書をまとめて厚生労働省に規制強化を要望しました。

日医の松本吉郎会長氏は「高額な紹介手数料の負担が難しい中小規模の医療機関は人材確保がより困難になり、地域の医療提供体制を揺るがすリスクになり得る」と強く訴えています。報告書では手数料の上限規制の導入、採用後の早期退職時における返戻金制度の義務化、定着期間に応じた段階的な手数料体系の導入など、具体的な措置を求めています。

厚労省は手数料の上限設定には引き続き慎重な姿勢を示す一方、2026年度はハローワークの機能強化で対応する方針を打ち出しました。ハローワーク職員が年間を通じて医療機関を訪問して求人情報を集めたり、看護師向けの公的な紹介サービスと情報を共有したりする取り組みが進められます。また2026年3月にはハローワークインターネットサービスのリニューアルも実施されており、利便性の向上による活用促進も期待されています。

公的財源の「流出」に財務省も危機感


診療報酬の財源は国民が納める保険料や税金です。財務省は「医療機関の経営原資が必要以上に手数料に流れ、保険料の上昇を招くことがないよう対応を図る必要がある」として、放置できない構造問題として位置づけています。

物価高が続く中で医療機関の経営環境はかつてなく厳しくなっており、人材紹介手数料の急増は保険料を負担する国民にとっても無縁ではありません。数十年にわたる政策の積み重ねによって生じた物価高と賃金停滞の影響を受け、医療現場はコスト増に対応しきれていないのが現状です。ハローワーク機能強化だけで問題を解消できるのか、上限規制を含む制度の抜本的な見直しを求める声は、今後さらに強まることが見込まれます。

まとめ


  • 2024年度の紹介手数料は医師283億円・看護職598億円、合計881億円(2019年度比で医師約3割増・看護職約6割増)
  • 介護職を含む医療・介護全体では2023年度時点で1061億円規模に達している
  • 手数料の相場は採用職員の年収の20〜30%。看護師で約100万円、医師で平均336万円
  • 東京都内の中規模病院は2025年に手数料総額約4000万円を支出し赤字転落
  • 看護職の採用後6か月以内離職率10.5%と高く、負の連鎖が繰り返されている
  • 日医と四病院団体協議会が2026年3月に手数料の上限規制などを厚労省へ要望
  • 厚労省は上限設定に慎重姿勢。2026年度はハローワーク機能強化で対応
  • 診療報酬は保険料・税金が原資。財務省も公的財源の流出を問題視

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2026-05-18 10:44:19(植村)

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