地域医療崩壊の危機:『患者不足』が招く公立病院の深刻な赤字

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地域医療崩壊の危機:『患者不足』が招く公立病院の深刻な赤字

多くの公立病院が経営難に陥り、その存続が危ぶまれています。 しかし、客員論説委員の河合雅司氏は、これらの表面的な問題の根底には、さらに深刻な「患者不足」があると指摘しています。 河合氏は、これらの問題はあくまで「結果」であり、その根源には、より構造的な課題があると指摘しています。 診療科によっては、地域住民の需要を満たすだけの患者数を確保することが困難になるのです。

日増しに厳しさを増す地域医療の現場。多くの公立病院が経営難に陥り、その存続が危ぶまれています。産経新聞の報道によると、2024年度には全国の公立病院の約8割が赤字に陥り、その額は過去最大を記録しました。一見すると、資材費や人件費の高騰、医療従事者の不足といったコスト増が原因のように思われます。しかし、客員論説委員の河合雅司氏は、これらの表面的な問題の根底には、さらに深刻な「患者不足」があると指摘しています。

公立病院、記録的な赤字へ


総務省が発表した最新の統計によれば、2024年度における全国の公立病院844のうち、実に83.3%にあたる病院が赤字決算となりました。その総額は3952億円にも達し、赤字額、赤字割合ともに過去最大の記録を更新したのです。この厳しい財政状況は、医療提供体制の維持、ひいては地域住民の健康と生命を守る上で、看過できない問題と言えます。

報道では、資材価格や人件費の高騰によるコスト増加が、病院経営を圧迫している現状が伝えられています。加えて、医療現場での人手不足は深刻化しており、十分な医療サービスを提供できないことによる収入の低下も、赤字額を押し上げる一因となっています。これらの要因が複合的に作用し、多くの公立病院を経営の崖っぷちに追い込んでいるのです。

コスト増だけではない、経営圧迫の構造


しかし、コスト増と人手不足だけが、地域医療を蝕む真の原因なのでしょうか。河合氏は、これらの問題はあくまで「結果」であり、その根源には、より構造的な課題があると指摘しています。それは、地域社会そのものの縮小、すなわち「患者不足」です。

特に、少子高齢化が急速に進む日本では、地域によっては若年層の人口が激減しています。若者たちは、教育や雇用の機会を求めて都市部へ流出し、地域には高齢者だけが残される傾向が強まっています。高齢者層も、高度な医療や専門的な治療を求めて、都市部の大学病院や大規模病院へと向かうケースが増えています。

人口減少が蝕む「患者基盤」


こうした人口構造の変化は、地域医療にとって致命的な影響を及ぼします。診療科によっては、地域住民の需要を満たすだけの患者数を確保することが困難になるのです。患者数が減少すれば、当然ながら病院の収入も減少します。

しかし、病院の維持には、建物の管理、医療機器の保守、そして一定数の医療従事者の確保といった、多額の固定費が継続的に発生します。患者が減って収入が減っても、これらの支出をすぐに削減することはできません。結果として、収入と支出のバランスは急速に悪化し、赤字が拡大していくという悪循環に陥ってしまうのです。

単に「患者が少ないから赤字」という単純な図式ではなく、地域で必要とされる医療機能、例えば救急医療や周産期医療、慢性疾患の管理などを維持するためには、一定の患者数とそれに見合う財政基盤が不可欠なのです。患者が減少すれば、こうした医療提供体制そのものの維持が困難になっていきます。

地域医療の灯を消さないために


このまま「患者不足」が進行し、公立病院の経営が悪化し続ければ、地域住民、とりわけ高齢者や子供たち、そして経済的に困難な状況にある人々は、必要な医療を受けられなくなる危険性が高まります。救急車がたどり着けない、専門的な治療が受けられない、といった事態は、決して対岸の火事ではありません。

医療格差の拡大は、地域社会の衰退をさらに加速させるでしょう。また、限られた医療資源の中で、残された医療従事者の負担は増大し、疲弊や離職につながる可能性も否定できません。少子高齢化が特に深刻な地方部においては、この問題は待ったなしの状況と言えるのです。地域医療の灯を未来に繋いでいくためには、人口減少という根本的な課題に目を向け、持続可能な医療提供体制を再構築していくための、早急かつ大胆な対策が求められています。

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2026-04-19 21:31:56(櫻井将和)

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