2025-06-25 コメント投稿する ▼
森友文書改ざん後も「うそを重ねろ」圧力の実態判明 追い詰められた赤木氏の遺した記録
改ざん後も続いた“うその指示” 新たな文書で判明
森友学園を巡る国有地売却問題で、改ざんされた財務省の決裁文書に関与させられ自死した近畿財務局職員・赤木俊夫さん(当時54)に関し、新たに開示された9000ページに及ぶ内部文書から、赤木氏が文書改ざん後も会計検査院に対して“うその説明”を重ねるよう指示され、精神的に追い詰められていった経緯が明らかになった。
文書は、赤木さんの妻・雅子さんが開示請求していたもので、検察が財務省から任意提出を受けた資料が含まれる。今回の情報公開は、これまでの経緯の“闇”にさらに踏み込む新たな一歩となった。
大阪・豊中市の国有地が8億円以上値引きされ、森友学園に売却された問題は2017年に表面化。その後、財務省内では決裁文書の改ざん、交渉記録の廃棄が進められたが、問題は国会へと波及し、会計検査院の検査が開始された。
会計検査に資料を“出すな” 本省からの圧力
2017年3月25日、検査開始前に財務省本省から近畿財務局へ送られたメールには、「今後、会計検査など外部に提出する可能性のある文書セットの案を送ります。不要なものを抜いております」と明記。つまり、資料を“あらかじめ選別して提出せよ”という意図が読み取れる。
これに対して、近畿財務局側は「この資料で会計検査院への説明は到底できない状況まで書類が削られている」「現場としてご指示通りの処理はできません」と強く反発。赤木さんら現場職員が本省の意向に抗おうとしていた実態が浮かび上がる。
だが、検査開始後の4月11日には、再び財務省理財局の方針として「1年を超えて保有する面会記録は“存在しない”」との方針が共有され、実際に存在する記録を「ない」と答えるよう強要されていた。
「これ、もはや改ざんじゃなく隠蔽でしょ」
「赤木さんはうそをつかされ続けていた。国が殺したようなもの」
「この国では、まじめな公務員が損をする仕組みになってる」
「『記録がない』って言い続けた人たちに責任は?」
「国会もメディアも、もっと本気でこの問題に向き合うべきだった」
赤木氏のノートに刻まれた“最後の葛藤”
開示された文書には、赤木さんが自ら記録したノートも含まれていた。そこには、会計検査院から「答えられないものがあるのか?裏があるのか?」と詰められる様子や、検査を終えた後の4月20日付けで「刑法258条(公用文書毀棄罪)」「刑訴法239条(誰でも告発できる)」という条文が記されていた。
これは、自分が関与させられた行為が法に抵触しているとの強い認識を持ち、苦悩していた証左だ。妻の雅子さんは「夫は自宅で『自分は犯罪者だ』と繰り返していた。うそを重ねなければならない状況が、どれほどつらかったのか、今やっとわかった」と語っている。
財務省は今回の件について、「当時の対応は不適切で問題があった。赤木俊夫さんが公務に起因して自死する結果に至ったことに心よりお詫び申し上げる」とコメントした。
検査院も“十分な検証はできず”のまま
会計検査院は2017年と2018年にわたり検査を実施したが、財務省側が交渉記録を「存在しない」として提出を拒んだため、適正な値引きが行われたかの結論は出せなかった。最終的に、「値引き額の算定方法には十分な根拠が確認できない」としたが、「値引き額の妥当性」は判断を避けた。
その後、文書改ざんが発覚し、2018年6月に財務省は「検査に支障を与えた」として内部調査報告書を提出。応接録を故意に開示せず、改ざん済みの文書を使ったことを「不適切な対応」と認めた。
検査院も再度検証に入ったが、結局、資料の不備などを理由に判断を下さないままとなっている。
制度としての責任と「風化させない」声
赤木俊夫さんの死は、文書改ざんという異常な行為にとどまらず、それをさらに隠すために「うそをつき続けろ」と命じられた現場職員の苦しみを可視化したものだった。今回明らかになった文書群は、まさに「国家の嘘」が一人の誠実な公務員をどこまで追い詰めたかを物語っている。
制度としての責任、そして誰がどの段階で止めることができたのか。あらためて検証が求められる。
今後も、遺族の訴えとともにこの問題を社会全体で「風化させず、繰り返さない」ことが問われている。