2025-06-11 コメント投稿する ▼
岸田前首相「石破首相は欧米の橋渡し役を」G7直前インタビューで中国警戒と外交継承訴え
岸田前首相がG7直前に石破政権へ注文 「欧米の橋渡し役に」中国の“微笑外交”にも警鐘
自民党の岸田文雄前首相は6月11日、今月15日からカナダで開催されるG7サミットを前に産経新聞の単独インタビューに応じ、石破茂首相に対し「米国と欧州の橋渡し役を果たしてほしい」と求めた。岸田氏は、トランプ前米大統領が再び政権に復帰して以降初のG7サミットとなる今回の会議が、多国間連携の分水嶺になるとの認識を示しつつ、「G7の結束の乱れを期待しているのは中露だ」として、中国とロシアの影響力拡大への強い警戒感をにじませた。
アジア唯一の首脳としてサミットに臨む石破首相には、アジアの地政学的現状を西側諸国に理解させる“伝道者”としての役割も期待されており、日本外交の真価が問われる局面を迎えている。
G7における“石破外交”の試金石 欧米とアジアの橋渡しを託される
岸田前首相は今回のインタビューで、G7サミットに臨む日本の立ち位置について明確なメッセージを残した。「欧米諸国との橋渡しを担えるのは、日本しかいない」と語る背景には、トランプ米政権の復活に伴う“米国第一主義”の復活という不安定要因がある。
「損得で判断する米国に対し、協力が互いの利益になることを丁寧に伝えるべきだ」
「孤立ではなく連携こそが米国の得になる」
こうした岸田氏の言葉には、バイデン政権下で回復しつつあった多国間主義が再び揺らぐことへの危機感がにじむ。同時に、日本が“調整役”として存在感を示すことが、アジアの平和と安定に直結するという現実も浮かび上がる。
中国の“微笑外交”を警戒 ASEANへの浸透も
岸田氏はインタビューの中で、中国がトランプ政権の空白を突いてASEAN諸国への影響力を強めていることにも言及。「今の中国の動きは“ほほ笑み外交”だ」と表現し、表面的な融和姿勢の裏にある戦略的拡張主義への警戒を強調した。
「米国の不在に中国が入り込もうとしている。サミットでその意図を伝えなければならない」
これは日本にとって、G7という場を通じて国際社会にアジア情勢の現実を伝える使命があることを示唆する。台湾情勢、南シナ海問題、経済的影響力の投射など、中国の行動は地域に限らず、グローバルな安全保障課題として扱われるべき局面に入っている。
連立政権の枠組み拡大にも含み 参院選後の再編を示唆
また、岸田氏は今夏に予定されている参院選後の政界再編についても言及。現在の自民・公明による連立に加え、「一部野党との連携も排除しない」との考えを示した。
「連立を組んでスムーズな意思決定を図るという考え方もある」
「国民の高い支持を得た党との協力は十分にあり得る」
これは、連立の柔軟性を視野に入れた発言であり、参院選の結果次第では政策合意に基づく広範な連携も想定されることを示唆している。いわば「選挙後の政局に含みを持たせた布石」とも言える発言であり、政界内では波紋を広げそうだ。
岸田外交の“継承と監視” 石破政権の舵取りに注文
今回のインタビューは、表向きはG7に向けた提言ではあるが、実質的には「石破政権への外交監視」でもある。岸田氏自身が首相時代に推し進めた多国間協調路線の継承を望む一方、石破氏が国内向けの施策や野党との融和に傾斜しすぎれば、「外交で日本の存在感が希薄になる」との懸念も滲む。
SNSでもさまざまな反応が見られる。
「G7で石破首相が何を話すか注目。岸田外交をちゃんと継承してくれ」
「トランプ政権復活で世界が荒れる。日本が間を繋ぐしかない」
「岸田さん中国に対して何かやってきた?自分が総理のときにできなかったくせにw」
「G7よりまず国内の経済立て直しが先では」
「連立拡大って、また“数合わせ政治”が始まるのか…」
国際社会が激動する中で、岸田氏が投げかけた提言は、石破政権への期待とけん制を両立させた“メッセージ外交”でもある。G7という舞台で、石破首相がいかにその期待に応えるかが、日本の外交力の真価を試す試金石となる。