2025-04-10 コメント投稿する ▼
誤表示で混乱広がる 生活保護資格ないのに「対象者」 政府アプリに深刻な不具合
問題のアプリは、医療機関が市販のパソコンやタブレットでもオンライン資格確認ができるようにと設計されたもので、「資格確認限定型」と呼ばれている。政府は従来の保険証の新規発行を停止する方針のもと、昨年4月からこのアプリを導入。生活保護受給者も対象にして運用を始めた。
ところがこのアプリ、過去に医療扶助を受けていた患者が、すでに資格を失っているにもかかわらず、今も有効であるかのように表示されてしまうという致命的な欠陥を抱えていた。通常のカードリーダーではこのような誤表示は起こらず、資格情報は常に最新のものが反映される。
実際、2月時点のデータでは、医療機関で行われた全資格確認のうち0.16%、件数にして月あたり約35万件が誤表示に該当していたという。従来の保険証を使用していれば、このようなトラブルは起きていなかった。
この不具合は、ある患者が接骨院で診療を受けた際に発覚し、伊藤議員の事務所に相談が寄せられた。伊藤氏は3月25日の参議院・地方創生デジタル特別委員会でこの問題を追及。厚労省の吉田修大臣官房審議官は不具合を認め、「4月中に修正する」と答弁した。
ところが修正を終えたはずのアプリでも、今度はログイン不能という新たなトラブルが発生。4月10日現在、全国の接骨院などでアプリが使えない状況が続いている。
さらに9日の委員会では、吉田審議官が「医療保険加入者向けに設計されたアプリをそのまま生活保護受給者にも使った」と答弁。これに対し伊藤氏は、「個人情報が誤って表示される危険を知りながら、マイナ保険証の一本化を急ぎ、システムを見切り発車で運用した。極めて無責任だ」と批判した。
政府はこのアプリの普及にあたって補助金を交付しており、医療機関に半ば強制的に導入を促してきた経緯がある。利便性を強調する一方で、患者の個人情報保護や現場での実用性を軽視していたのではないか、という疑念も拭えない。
マイナ保険証の普及には、制度の透明性と安全性が不可欠だ。現場の混乱を収拾し、再発防止策を講じるとともに、国民が安心して使える仕組みを築くことが、今こそ求められている。