2025-06-24 コメント投稿する ▼
アニメ・ゲーム産業を国家戦略に 経産省が5カ年計画で海外売上20兆円目指す支援策発表
アニメ・ゲーム産業に国家戦略 経産省が5カ年アクションプラン発表 海外売上20兆円へ
経済産業省は6月24日、アニメ・ゲームなど日本が世界に誇るエンターテインメント産業の成長を加速させるための「アクションプラン5カ年計画」を発表した。国を挙げて海外展開を後押しし、制作費の支援や人材育成、就業環境の改善まで含めた包括的な取り組みが柱となっている。
政府の目標は明確だ。2033年までに日本発エンタメ産業の海外売上高を20兆円規模に引き上げること。2023年時点での海外売上はすでに5.8兆円に達しており、これは半導体や鉄鋼といった伝統的産業を超える勢いで、自動車産業(約21兆円)に次ぐ“国家の屋台骨”になりつつある。
「もはやアニメは“文化”じゃなく“産業”としての扱いに」
「遅すぎるくらいだけど、やっと国が本気出したか」
ゲーム産業は制作費支援へ アニメ業界には労働環境の改善も
とくに成長が著しいのがゲーム業界。海外売上はすでに2兆円を超えており、経産省はさらなる拡大に向けて、海外展開を図るゲーム企業への制作費支援を検討している。新規IP(知的財産)の立ち上げや、グローバル市場向けのローカライズ、プロモーションなどにかかるコストが補助対象となる可能性がある。
一方、深刻な課題を抱えるのがアニメ業界だ。才能ある若手が過酷な労働環境や低賃金を理由に業界を去る現状が続いており、経産省は「産業としての持続可能性」に危機感を抱いている。5カ年計画では、制作現場の就業環境改善や標準契約の整備、フリーランス支援策などを進めるとしている。
「“夢を売る”現場がブラックすぎて、夢が壊れてた」
「まずは最低賃金並みの報酬を保証しないと人は戻らないよ」
知的財産を守れ “海賊版”対策も強化
成長産業であるがゆえに、海外での“海賊版”流通による損失も深刻だ。漫画・アニメ・ゲームの違法アップロードや模倣品の流通は、国内外で毎年数千億円規模の被害をもたらしている。今回の計画では、こうした知的財産侵害への対策強化も明記された。
政府はすでに外務省や文化庁などと連携し、ASEAN諸国や欧州に向けた法制度整備支援、通報プラットフォームの構築、企業への法務支援などを展開しているが、今後はより一層の国際的連携が求められる。
「“アニメタダ見文化”が世界中に広がったのも放置のせい」
「作り手が損してる構造はそろそろ終わらせないと」
支援の本質は“減税”と制度設計にあり
ただし、補助金頼みの支援策には限界がある。エンタメ産業の持続的成長を促すには、給付や助成ではなく、恒久的な「減税」と「制度整備」が本質的な支援となる。例えば、制作会社が資本を内部留保しやすい税制や、中小スタジオに有利なインボイス制度の見直し、フリーランス保護の明文化がなければ、業界は“助成待ち産業”に陥ってしまう。
さらに、制作現場の安全保障――つまり知的財産と情報の漏洩を防ぐためにも、「スパイ防止法」のような法整備は避けて通れない。日本の文化産業を世界市場で競争させるには、作品だけでなく、それを取り巻く環境そのものを保護する視点が欠かせない。
国家戦略としてのエンタメ産業――。それを本気で育てるならば、支援より先に整えるべき土台がまだまだ多く残されている。