2025-06-24 コメント投稿する ▼
看護職の基本給、12年で6000円増にとどまる実態 処遇改善と減税の必要性強まる
看護職員の基本給、12年でわずか6000円増 物価高騰に置き去りの処遇改善
日本看護協会が6月24日に発表した最新の実態調査によって、看護職員の給与水準が長年にわたって実質的な上昇を見せていないことが改めて浮き彫りになった。特に病院で働く非管理職のフルタイム看護職員における基本給の増加は、過去12年間でたった5868円、わずか2.3%にとどまっていた。
その一方で、この期間における日本国内の物価上昇率は累積で20%を超えるとも言われており、看護職員の実質賃金は大きく目減りしている。月給全体で見れば2万9936円増加してはいるものの、手当などに依存した構造的な問題が根深く、基本給の据え置き状態が長期化していることは深刻だ。
給与に対する不満が多数 「やりがい搾取」の限界
調査では、給与水準に対する満足度についても明らかにされた。病院勤務の看護職員のうち、「不満」「やや不満」と回答した人の合計は64.2%に達しており、訪問看護ステーションでも51.2%、介護系サービスでは59.0%と、いずれの現場でも過半数が処遇に不満を感じている実態がある。
「命を預かる職種なのにこの待遇?やりがい搾取が過ぎる」
「12年で6000円って…日本の福祉は死んでるのか」
「人手不足とか言う前に、ちゃんと給料出せ」
「昇給したと言われても、実際は生活苦しくなる一方」
「結局、現場の献身に甘えて制度は変えようとしない」
ネット上では看護職の献身的な働きぶりと、それに見合わない報酬のギャップに怒りの声が相次いでいる。新型コロナウイルス対応において最前線で奮闘してきた看護職員に対し、「感謝は言葉だけか」といった皮肉も飛び交っており、現場の疲弊と怒りは臨界点に近づいている。
予算制約で賃上げ困難 制度の見直し急務
日本看護協会の秋山智弥会長は記者会見で「物価高騰の影響を価格に転嫁できない医療機関では、職員の賃上げに回す余裕がない」とし、構造的な制度の問題を指摘した。
そもそも医療・介護現場では、診療報酬や介護報酬の枠内で経営が成り立っており、人件費に充てられる原資は国の設定する報酬体系に強く制限されている。事業者側に努力を求めるだけでは限界があり、根本的な報酬制度の見直しが必要とされている。
特に注目すべきは、「手当」に偏った給与構成だ。基本給が低く抑えられている分、夜勤手当や危険手当などで月給を水増しする手法が常態化しており、これが退職金やボーナスに影響を及ぼす構造的不利を生んでいる。結果的に、長年勤めても生活設計が成り立たない「報われない職場」が形成されてしまっているのだ。
感謝ではなく待遇を 現場支える減税と制度改革を
看護職員も一人の生活者であり、物価上昇や家庭の事情と無縁ではない。特に女性比率の高い業界である看護分野では、子育てや介護との両立が求められる職員も多く、賃金の低迷は離職や人手不足の連鎖を引き起こしている。
いまこそ、政府は「給付金」や「一時的な加算措置」で場当たり的に対応するのではなく、医療福祉分野に従事する者への所得税減税や、社会保険料の軽減といった恒久的な制度支援を打ち出すべきだ。
国民の命と生活を支えているのは、決して霞が関や永田町ではない。最前線に立つ看護職員を含む現場労働者たちの処遇こそが、日本社会の土台だ。
単なる「応援」や「感謝の拍手」では、もはや限界である。制度を動かす政治的な意思、そしてそれを後押しする減税こそが、看護の未来を守る鍵になる。