2025-11-28 コメント投稿する ▼
横田基地 外で米兵落下 事故原因究明と再発防止を求める
在日米軍の横田基地(東京・多摩地域)における人員降下訓練中、米兵の1人が基地外に落下する事故が起きた問題で、野党側議員らが11月28日に防衛省に対し、原因の徹底究明と被害住民への補償、そして再発防止策を米軍に対して厳しく求めるよう強く要求しました。 過去にも、降下訓練や物資投下訓練で基地外へのパラシュート落下や部品落下が報告されており、住民の不安と批判が継続してきました。
横田基地 外で米兵落下事故 原因究明と再発防止を米軍に強く要求
在日米軍の横田基地(東京・多摩地域)における人員降下訓練中、米兵の1人が基地外に落下する事故が起きた問題で、野党側議員らが11月28日に防衛省に対し、原因の徹底究明と被害住民への補償、そして再発防止策を米軍に対して厳しく求めるよう強く要求しました。
事故の経緯と米軍の対応
11月18日夕、横田基地所属のC-130輸送機によるパラシュート降下訓練中、米兵1人が羽村市の私有地に落下しました。主降下傘が作動せず、予備降下傘を使ったとの説明です。けが人は出ておらず、住民からの通報を受けて防衛省を通じて自治体に「場外降着(基地外での着地)」の報告がありました。
事故発生後、米軍は18日と19日の訓練を中止しましたが、わずか2日後の20日、「安全性の確信が得られた」として訓練を再開しました。ところが、再開後に別の場所で誘導用の傘(パラシュート関連器材)が発見されたことが判明しました。
この事実に対し、同行調査を行った議員側は「他に落下物がないか把握せずに訓練を再開するのは、安全確認どころか事態の正確な把握さえできていない」と厳しく批判しました。
防衛省側は、今回の米兵の落下を「事故」と認識していることを認め、「被害者が速やかに補償を受けられるよう、手続きを進めたい」と説明しています。
住民・自治体の不安と批判
今回の事故を受け、羽村市は国および米軍に対し正式に抗議する方針を示しています。住民の多くは「住宅街の真上で人員降下訓練を行うこと自体が無謀」「事前通告もなく訓練が行われたことは重大な問題」と強く反発しています。
訓練再開の早さにも不満が根強く、「事故原因も十分に調べずに見切り発車した」との批判もあがっています。自治体や住民団体は、落下物が他にないかを含めた徹底調査と、再発防止のために訓練の中止、あるいは飛行訓練自体の見直しを強く訴えています。
議員・市民団体の要求と今後の焦点
この日の聞き取りに参加したのは、山添拓参院議員や尾崎あや子都議、そして関係市議、住民運動関係者らです。彼らは、防衛省に対し以下の点を強く求めました。
・今回の事故の原因究明。主降下傘が機能しなかった原因、予備傘の挙動、他の落下物の有無などを米軍に説明させること。
・被害住民への速やかな補償。地元住民の不安・被害に対する補償の手続きの明確化と迅速な実施。
・他に落下物がないことが確認されるまでの降下訓練・物資投下訓練の停止。人口密集地での訓練そのものの是非を含めた抜本的な見直し。
議員らは、訓練再開を判断した過程や安全確認の中身を詳細に説明するよう防衛省と米軍に求めています。住民の安全と安心を守るため、再発防止策と透明性の確保が不可欠という立場です。
なぜ繰り返されるのか 根深い構造問題
今回の事故は、横田基地周辺で繰り返されてきた、パラシュートや物資降下に伴う落下物事故の延長線上にあります。過去にも、降下訓練や物資投下訓練で基地外へのパラシュート落下や部品落下が報告されており、住民の不安と批判が継続してきました。
また、過去から自治体や住民団体は、訓練内容や日時、規模の事前通告を求めてきたにもかかわらず、十分な情報提供がなされてこなかったと指摘されています。今回も事前通知なく訓練が実施されたことが明らかになっており、透明性と住民合意の欠如が根本問題です。
こうした状況は「住民の生活と安全を守る自治のあり方」を問う重大な問題です。たとえ今回のようにけが人が出なくても、次に起きる事故が重大な人命被害につながる可能性は否定できません。
住民の命と暮らしをどう守るか
今回の落下事故を通じて浮き彫りになったのは、米軍任せの安全管理と、住民への説明責任の不履行、そして訓練再開の軽視です。事故の原因究明と補償を米軍に厳しく要求すると同時に、人口密集地での降下訓練という危険な慣行そのものを見直す必要があります。
国と自治体は、住民の命と暮らしを守る責任を放棄すべきではありません。透明性を確保し、住民の声を反映させる。そして米軍と防衛省が再発防止の確かな体制を構築するよう強く求めるべきです。