2025-03-26 コメント投稿する ▼
熊本TSMC工場の処理水放出、河川でフッ素化合物濃度増加
環境モニタリング委員会の開催
2024年2月に発足した「環境モニタリング委員会」は、熊本県内での半導体関連企業の集積に伴い、地下水や河川、大気中の化学物質の濃度などの環境変化を専門的に検証する役割を果たしている。委員会は、県民からの環境への影響に対する懸念に応えるため、TSMC工場の稼働に関連した水質や空気質の調査を行ってきた。今回の会合は、24年末に本格稼働を開始したTSMC工場に関連する初の開催となった。
フッ素化合物濃度の増加
委員会は、TSMC工場が放出する処理水が流れ込む坪井川で、フッ素化合物であるPFBS(パーフルオロブタンスルホン酸)およびPFBA(パーフルオロ酢酸)の濃度が増加したことを報告した。これらの化学物質は、水質汚濁防止法などの規制には含まれていないが、工場を運営する子会社「JASM」が使用する物質として確認されており、規制外とはいえ問題視されるべきだという専門家の意見が出ている。
因果関係の指摘と今後の対応
委員会の委員長を務める篠原亮太氏は、フッ素化合物の濃度上昇について、「工場の稼働との因果関係が認められる」と指摘した。委員会は、工場が放出する処理水が河川に影響を与えている可能性があることを強調し、行政によるさらなる企業努力を促すよう求めた。
しかし、熊本県の担当者は、これらの化学物質が規制外であることを理由に慎重な判断が求められるとし、「今後、データが集まり次第、健康へのリスクも考慮して対応を検討していく」と述べた。現時点では、規制対象外であるため即時の対応は難しいが、今後のデータ収集と解析に基づき、適切な対策を講じる意向を示している。
地域社会への影響と今後の課題
TSMCの熊本工場は、地域経済への貢献が期待される一方で、環境への影響も懸念されている。県内の住民からは、工場稼働に伴う水質汚染や空気中の有害物質の増加について不安の声が上がっており、特に水質汚染が健康に与える影響については、より深刻に受け止められている。
今後の課題としては、規制外の化学物質についてどのように監視を強化し、地域住民の健康を守るかが重要となる。また、企業側に対しても環境保護の観点から、更なる改善努力を求める声が強まる中、行政の対応が注目される。