2026-08-22 コメント投稿する ▼
55億円で買った山が27年放置 大村秀章知事も認めた愛知・幡豆の塩漬け県有地
愛知県西尾市幡豆地区に、1999年に55億円の公費で購入しながら27年間にわたって放置されたままの県有地があります。中部国際空港セントレアの建設用土砂を採取する目的で取得しましたが、2001年に事業が中止に。保安林指定や急峻な地形がネックとなり、その後の活用策もことごとく頓挫してきました。毎年約1500万円の管理費が今も税金から消え続ける中、愛知県は2026年6月から民間からアイデアを募集しています。大村秀章知事も「とても無理だ」と認める事態となっており、担当者は「何でもいいから案を頂きたい」と訴えています。四半世紀以上行き詰まってきたこの問題は、公費支出の責任ある管理の在り方を改めて問い直すものとなっています。
1999年に55億円で購入 セントレア建設計画が頓挫し27年間「塩漬け」
愛知県西尾市の幡豆地区に、公費を投じて購入したにもかかわらず27年間にわたって放置されたままの県有地があります。
面積は約143.5ヘクタール、バンテリンドームナゴヤ約30個分に相当する広大な山林で、愛知県企業庁が管理しています。
購入の目的は、中部国際空港(セントレア)の建設でした。2005年の愛知万博「愛・地球博」に合わせて工事を急ぐ必要があり、海を埋め立てるための土砂5000万トンをこの幡豆の山から調達する計画だったのです。
愛知県は1999年、55億円の公費を投じて土地を買収しました。しかし2000年12月、空港会社側がスケジュールの遅れを理由に土砂を三重県など別の場所から調達すると決定しました。
2001年1月に事業は中止となり、幡豆の山から一粒も土砂が使われることなく、そのまま放置状態となりました。
保安林・急峻な地形・採算困難 活用計画がことごとく頓挫した理由
以来、愛知県は多目的グラウンド・介護施設・環境配慮型住宅・企業誘致など様々な活用策を検討してきましたが、二重三重の壁が行く手を阻んでいます。
最大の障壁は、土砂崩れを防ぐため国の「保安林」に指定されていることです。保安林では木を自由に切ることができず、開発の自由度が大きく制限されます。
さらに標高20~200メートルの急峻な地形が追い打ちをかけ、採算が取れないことを理由に、検討されてきた構想はすべて白紙となりました。
愛知県知事の大村秀章氏は「私が就任してから3回くらいここをなんとか使えないか検討したが、土地が切り立っているのでとても無理だ」と述べています。愛知県企業庁の担当者も「この25年間、様々な検討をやってきたが全部ダメで、県内部だけでは案が出尽くしてしまった」と、事実上のお手上げを認めています。
こうした現状に、SNS上でも県民から様々な声が上がっています。
「55億円で買った山が27年放置って、愛知県民の税金じゃないか。何やってんの」
「セントレアの計画変更のツケを地元住民に押し付けるのは本当におかしいと思う」
「毎年1500万円の管理費を27年払い続けてるって、一体合計いくらになるのか」
「保安林で木も切れない、急斜面で開発もできない、じゃあ最初から買うなという話」
「民間のアイデアを募集するしかないって、要するに行政のお手上げ宣言だよね」
何も生まない山に毎年税金1500万円 地元住民が抱える複雑な思い
この土地の管理は県が民間業者に委託しており、毎年約1500万円の費用がかかっています。55億円の購入費に加え、事業中止から約25年分の管理費を単純計算すると、すでに58億円を超える公費が費やされてきた計算になります。
山の環境を守っているのは地元のボランティアで、月に1回、草を刈ったりアジサイを植えたりして管理し続けています。
地元住民の声は複雑です。「自然を生かした公園に」「企業誘致で働き口を」「病院が欲しい」などの期待がある一方、地元の酒蔵からは「大規模な工場が建つと水脈が変わりお酒の味にも関わる」との懸念も上がっており、単純な開発が進めにくい地域事情があります。
イノシシの増加による被害を訴える声も地元から聞かれており、山の環境管理自体も課題となっています。
2026年6月から民間アイデア募集 四半世紀の行き詰まりを打破できるか
こうした経緯から、愛知県は2026年6月1日から8月31日まで、民間から土地活用のアイデアを広く募集する取り組みを開始しました。提案の検討結果は2026年10月ごろに通知される予定です。
地元のローカル紙「西尾ミライ新聞」発行人の藤野貴教さんは、名鉄西幡豆駅を拠点に山から海までを一体のエリアとして活用する案を提出しました。雇用を生む工場・障害者と健常者が共生できる場所・ネイチャーパークの3本柱を提案しています。
今回の問題は、大規模な公共事業の計画変更に備えた代替案や損失管理の仕組みが不十分だった典型例といえます。55億円という多額の公費支出に明確な目標と中止基準が用意されていなかったことへの反省を踏まえ、公共事業の計画段階から数値目標と撤退基準を明確にすることが不可欠です。
民間への開放がその第一歩となるか、地域の未来を左右する判断が問われています。
まとめ
- 愛知県西尾市幡豆地区に143.5ヘクタールの県有地。1999年に55億円で購入したが、中部国際空港建設用の土砂採取計画が2001年に中止され27年間放置されてきた。
- 「保安林」指定で木を自由に切れない上に急峻な地形のため、多目的グラウンドや企業誘致など過去のすべての開発構想が白紙に。
- 毎年約1500万円の管理費が税金から支出されており、購入費との合計は58億円超に上る計算になる。
- 大村秀章知事自身も「とても無理だ」と認め、担当者も「県内部だけでは案が出尽くした」と述べる事実上のお手上げ状態。
- 2026年6月1日から8月31日まで民間から活用アイデアを公募。結果は同年10月ごろ通知予定。
- 地元住民は公園・工場誘致・病院など多様な期待を持つ一方、水脈への影響を懸念する声や、単純な開発を難しくする複雑な地域事情もある。