宮城県議会が「ネット誹謗中傷防止条例」を検討 知事の削除要請盛り込む構成案 11月定例会への提出目指す

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宮城県議会が「ネット誹謗中傷防止条例」を検討 知事の削除要請盛り込む構成案 11月定例会への提出目指す

宮城県議会のインターネット誹謗中傷等防止条例検討会は2026年5月21日、条例の構成案を協議した。座長の高橋宗也議員(自民党・県民会議)が示した案では、人権侵害につながる投稿に対し知事が事業者へ削除要請できる仕組みを設けるほか、災害時のデマ拡散を防ぐ条文も盛り込んだ。2025年10月の宮城県知事選で候補者らを中傷する投稿がSNS上で飛び交ったことを直接の契機に、条例制定の検討が本格化してきた。パブリックコメントを経て2026年11月定例会への条例案提出を目指す。実効性の確保と表現の自由との調和をどう両立するかが今後の最大の焦点だ。

知事選での中傷が発端 条例制定の検討が本格化


宮城県議会の条例検討会は2026年5月21日、「宮城県インターネット上の誹謗中傷等防止条例」(仮称)について、座長の高橋宗也議員(自民党・県民会議)が構成案を示しました。案では、人権侵害につながる投稿に対して知事が削除要請できるようにするほか、災害時の誤情報拡散を防ぐ条文も盛り込みました。

条例制定に向けた動きの直接のきっかけは、2025年10月の宮城県知事選挙です。選挙期間中、SNS上で候補者らを中傷する投稿が相次ぎ、家族への危害を示唆するものまで流れる深刻な事態となりました。これを受け県議会は同年12月、議員8人で構成する検討会を設置し、議員提案による条例制定に向けた議論を開始しました。

検討会はこれまでに行政法の専門家から意見を聴取するなど、専門的な知見を踏まえた審議を重ねてきました。誹謗中傷対策の条例は2020年の群馬県を皮切りに23を超える自治体がすでに制定しており、大阪府の先行事例を参考にしながら議論が進んでいます。

選挙で誰かを傷つけることを目的にしたSNS投稿が飛び交う状況は、民主主義への脅威だと思います

構成案の主な内容 相談支援から削除要請まで段階的に対応


高橋座長が示した構成案では、ネット上での人権侵害に関して被害の相談があった際、まず知事が発信者らに「説示や助言」をすることができるとしました。それでも解決に至らない場合の最終手段として、事業者(プラットフォーム)への削除要請を盛り込み、段階を踏んだ対応設計となっています。

単なる批判や意見の表明ではなく、人権侵害と認められる投稿に対象を絞ることで、過度な規制とならないよう線引きを工夫する考えです。相談支援体制の整備を条例の柱の一つに位置づけており、被害者が声を上げやすい環境をつくることを重視しています。

また、災害時の誤情報拡散を防ぐための条文も盛り込まれています。東日本大震災では根拠のないデマや風評被害が広がり、被災地の復旧・復興に深刻な影響を及ぼしました。宮城県がその教訓を条例に刻み込もうとするのは、被災地としての切実な使命感によるものです。

震災のとき、デマのせいで支援が届かなかったり傷ついた人がたくさんいた。条例で同じことを繰り返さないようにしてほしい

先行自治体の事例 大阪府条例が参考モデルに


大阪府は2022年4月に誹謗中傷・差別等の人権侵害のない社会づくりを目的とした条例を施行し、実際にプロバイダーへの削除要請を行ってきた先駆的な事例として知られています。宮城県検討会も大阪府の担当者から詳細な取り組みを聴取し、制度設計の参考にしています。

一方、専門家の間では「選挙期間中にSNS上のデマや中傷を削除することは事実上不可能に近い」との指摘もあります。被害者が訴え出る際の心理的・経済的ハードルと、情報拡散のスピードとの間には深刻な非対称性があり、条例に実効性を持たせるためには具体的な運用の仕組みが不可欠です。

条例ができても運用が伴わなければ意味がない。知事が削除要請できるだけでなく、業者側にも応じる義務を明確にすべきだ

今後の日程 11月定例会への提出目指す


次回以降の検討会で骨子案をまとめたうえでパブリックコメント(意見公募)を実施し、2026年11月定例会への条例案提出を目指します。

インターネット上の誹謗中傷は被害者の精神的苦痛にとどまらず、選挙の公正性や地域社会の信頼にまで影響を及ぼす深刻な問題です。宮城県の条例が実効的なものとなるためには、知事の削除要請権限を明確に定めるとともに、相談窓口の周知や被害者支援体制の整備など、具体的な運用の仕組みを丁寧に設計することが不可欠です。

表現の自由との調和も慎重に図らなければなりません。行政が「人権侵害」の範囲を恣意的に広げれば、正当な批判を封じる危険性があります。パブリックコメントを通じて条例の目的と限界について広く県民の意見を集め、開かれた議論のもとで制定するプロセスが重要です。

知事が削除要請できる仕組みは大切。でも、都合の悪い批判まで消せる制度にならないよう、歯止めをきちんと設けてほしい

宮城県議会の取り組みは全国的にも注目されており、今後のパブリックコメントと定例会での審議の行方に関心が集まっています。

まとめ


  • 宮城県議会の検討会が2026年5月21日、誹謗中傷等防止条例(仮称)の構成案を協議
  • 案では知事による発信者への説示・助言と、解決しない場合の事業者への削除要請を段階的に設定
  • 災害時の誤情報拡散防止の条文も盛り込み、東日本大震災の教訓を反映
  • 条例制定のきっかけは2025年10月の宮城県知事選でのSNS誹謗中傷・家族への脅迫的投稿
  • 大阪府の先行条例(2022年施行)が参考モデルの一つ
  • 誹謗中傷対策条例はすでに23を超える自治体が制定済み
  • 今後は骨子案を策定後にパブリックコメントを実施し、2026年11月定例会への提出を目指す
  • 実効性の確保と表現の自由との均衡が最大の課題

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2026-05-22 11:52:38(植村)

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