2026-02-03 コメント投稿する ▼
農林水産物輸出1.7兆円で過去最高も政府目標2兆円に届かず 2025年実績
農林水産省が2026年2月3日に発表した2025年の農林水産物・食品の輸出額は、前年比12.8パーセント増の1兆7005億円となりました。13年連続で過去最高を更新する快挙となりましたが、政府が2020年に設定した2025年の目標値である2兆円には届かず、目標未達という結果に終わりました。
輸出先の状況と主要品目
輸出先上位10カ国・地域は、いずれも前年比で金額が増加しました。首位は米国で、13.7パーセント増の2762億円と全体の17.3パーセントを占めました。抹茶を含む緑茶が82.6パーセント増加し、米国への輸出品目でトップとなりました。
「緑茶ブームで日本産が人気になっているのは嬉しい」
香港が2位、台湾が3位に続き、4位の中国は3年ぶりに伸びて1799億円となりました。中国では高市早苗首相の台湾有事発言を受けて2025年11月に日本産水産物の輸入を事実上停止する措置がとられましたが、それでも主にニシキゴイやビール、丸太の輸出が増加しました。
品目別では、金額ベースで緑茶が357億円増、ホタテ貝が211億円増、ブリが113億円増と大きく伸びました。世界的な抹茶ブームを背景に緑茶の輸出が約2倍に急増したことが、輸出額全体を押し上げる要因となりました。
「抹茶ラテやスイーツで日本茶が世界中で愛されている」
一方で、ホタテ貝加工品は59億円減、リンゴは58億円減と減少した品目もあり、全体としては増加傾向にあるものの品目間でばらつきが見られました。
2兆円目標未達の背景
政府は2020年に、輸出額を2025年までに2兆円、2030年までに5兆円に拡大する目標を設定しました。この目標は「食料・農業・農村基本計画」や「経済財政運営と改革の基本方針2020」で閣議決定され、農林水産業・食品産業の「海外から稼ぐ力」を強化する方針が示されていました。
しかし2025年の実績は1兆7005億円にとどまり、目標の2兆円に対して約3000億円不足しました。13年連続で過去最高を更新し、前年比でも12.8パーセント増という高い伸び率を記録したにもかかわらず、目標達成には至りませんでした。
「毎年伸びているのに目標に届かないのは残念」
「2兆円は最初から高すぎる目標だったのでは」
目標未達の背景には、輸出先の多角化や供給力の強化が十分に進まなかったことがあると指摘されています。特定の国・地域への依存度が高く、中国の輸入規制やトランプ関税など外部環境の変化に対する脆弱性が浮き彫りになりました。
今後の課題と2030年目標
政府は引き続き2030年までに輸出額を5兆円に拡大する目標を掲げています。この目標を達成するためには、輸出先の多角化と供給力の強化が一段と求められます。
農林水産省は「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を策定し、輸出重点品目を選定して品目ごとに国・地域別目標を設定しています。2025年の改訂では、果樹(ナシ)、ホタテ貝加工品、カキ・カキ加工品が新たに追加されました。
また、米国の関税措置など世界の通商環境が不透明化する中で、輸出構造を強靭化する重要性が高まっています。日本の農林水産業・食品産業の生産性向上およびブランド化などによる高付加価値化を進めるとともに、非日系市場や未開拓の有望地域・分野などの新市場を開拓し、輸出先の多角化を進める必要があります。
海外市場で求められるスペック(量・価格・品質・規格)の産品を専門的・継続的に生産・輸出する体制を構築し、プロダクトアウトからマーケットインへの転換を図ることが不可欠です。生産者・輸出認定施設・輸出事業者が連携して生産から輸出まで一貫した取り組みを進める「コンソーシアム」の構築も求められています。
2025年は2兆円目標に届かなかったものの、13年連続で過去最高を更新したという実績は評価できます。2030年の5兆円目標達成に向けて、さらなる取り組み強化が必要です。