2026-04-19 コメント投稿する ▼
ホルムズ海峡『米抜き』作戦は絵空事か - パリ会合に見る欧州主導の危うさと日本の針路
会合のホスト国であるフランスのマクロン大統領は、欧州が主体となった「米抜き」での作戦実施に意欲を示しました。 これは、軍事作戦を伴う欧州の国際会合としては異例のことであり、欧州の安全保障におけるNATOの役割や、米国との連携のあり方について、改めて課題を突きつける形となりました。
パリ会合開催、欧州主導の航行安全構想
ホルムズ海峡の「航行の自由」を守るため、有志国による国際的な協力枠組みを目指す会合が4月17日、フランス・パリで開かれました。この会合は、中東地域での緊張が高まる中、重要な海上交通路であるホルムズ海峡の安全確保に向けた新たな動きとして注目されました。しかし、会合の形式や参加国の姿勢からは、欧州主導による独自の安全保障構想の難しさも浮き彫りになりました。
フランス、独自の「第3の道」を模索
会合のホスト国であるフランスのマクロン大統領は、欧州が主体となった「米抜き」での作戦実施に意欲を示しました。マクロン大統領は、参加国を「国際法を尊重し、航行の自由を守る意志で結ばれた独立国の連合」と位置づけ、これは彼が提唱する、米国や中国といった大国とは一線を画し、国際法を重視する中堅国が連携して新たな国際秩序を築こうとする「第3の道」という構想に基づいています。欧州連合(EU)や国際海事機関(IMO)もオンラインで参加し、欧州の結束をアピールする狙いがありました。
ドイツの慎重姿勢と米国の不在
一方で、会合には欧州内での温度差も見られました。ドイツのメルツ首相は、掃海艇や偵察機の派遣には前向きな姿勢を示したものの、「米国の参加が望ましい」と述べ、米国との連携の重要性を強調しました。ドイツは日本と同様に、安全保障面で米国への依存度が高く、独自の軍事作戦に踏み切ることに慎重な立場を取らざるを得ないのが実情です。また、今回の会合には北大西洋条約機構(NATO)も参加しませんでした。これは、軍事作戦を伴う欧州の国際会合としては異例のことであり、欧州の安全保障におけるNATOの役割や、米国との連携のあり方について、改めて課題を突きつける形となりました。
トランプ米大統領の揺さぶり
会合と前後して、トランプ米大統領は自身のSNSで、NATOから支援の打診があったとしつつも、「NATOは必要な時に役に立たない。張り子のトラ!」と厳しく批判しました。これは、欧州の同盟国に対する不信感の表れであり、米国の同盟関係に対する従来の方針への疑問を改めて示唆するものです。米国が主導権を握らない形でのホルムズ海峡の安全確保作戦に、欧州がどこまで実効性を持たせられるのか、その見通しは不透明さを増しています。
日本の立場と国際協力の課題
日本からは高市早苗首相が書簡でメッセージを寄せ、「航行の自由」の重要性を訴え、「関係国との緊密な連携」による取り組みを進める考えを表明しました。これは、米国との同盟関係を基軸としつつ、国際社会との協調を重視する日本の現実的な外交姿勢を示すものです。会合には、中国やインドといった主要国も招待されましたが、両国やサウジアラビア、カタールなど中東諸国は、首脳ではなく代表レベルでの参加にとどまりました。米国やイランといった当事国を排除した形での軍事作戦が、どこまで関係国の支持を得られるのか、その実現可能性には依然として懐疑的な見方が根強くあります。
欧州主導の限界と今後の展望
今回のパリ会合は、ホルムズ海峡の安全確保に向けた国際協力の必要性を示す一方で、欧州主導による「米抜き」作戦の実行がいかに困難であるかを浮き彫りにしました。フランスが描く独自の安全保障構想は、理想主義的である反面、現実の国際政治における米国の影響力や、同盟関係の重要性を軽視しているとも言えます。会合後、参加国は近く英国で軍高官による会合を開き、作戦の詳細を詰める予定ですが、具体的な軍事行動に移るには、参加国の利害調整や、米国との連携など、乗り越えるべき課題は山積しています。国際社会が連携して地域の安定を図るためには、各国の思惑を超えた、より現実的で実効性のある協力体制の構築が不可欠となるでしょう。
まとめ
- ホルムズ海峡の航行安全のため、パリで有志国会合が開催された。
- フランスは欧州主導の「米抜き」作戦に意欲を示したが、ドイツは米国の関与を求めた。
- 米国はNATOを批判するなど、同盟関係に亀裂が生じている。
- 日本は「関係国との緊密な連携」を表明し、現実的な外交姿勢を示した。
- 米国不在の作戦実現には懐疑論が根強く、欧州主導の限界が露呈した。