2026-06-29 コメント投稿する ▼
参院憲法審、停滞続く「合区」も不発 改憲論議は衆院主導で進行中
衆議院憲法審では緊急事態条項に関する論点整理が進む一方、参議院憲法審は議論が活性化せず、自民党が提案した参議院選挙区「合区」の解消策も、現時点では目立った効果を上げていません。 しかし、現状では参議院憲法審の議論は停滞しており、自民党が提案した「合区」解消策も目立った効果を上げていません。
改憲議論の現状と衆参の温度差
憲法改正を党是とする自民党は、2026年2月の衆議院選挙で圧勝したことで、改憲に向けた勢いを増しました。衆議院では、憲法改正案の国会発議に必要な「3分の2以上」の議席を単独で確保しています。この勢いを背景に、4月以降、衆議院憲法審査会は定例日である木曜日にほぼ毎週本格的な討議を重ね、これまでに計10回もの会合が開かれました。その成果として、5月14日には、議論が煮詰まったとされる国会議員の任期延長措置を含む緊急事態条項について、具体的な条文イメージが提示されました。これは、改憲に賛同する自民党、日本維新の会、国民民主党などの主張を「最大公約数」として取りまとめたもので、衆議院自民党としては、論点の拡散を防ぎ、早期の発議につなげるための「ピン留め」戦略とも言えるでしょう。
しかし、参議院における憲法審議会の状況は、衆議院とは対照的です。参議院では、自民党は単独で過半数を確保していますが、改憲に必要な3分の2には及ばず、立憲民主党など護憲勢力の影響力が依然として根強く残っています。そのため、参議院憲法審での本格的な討議は、4月以降、衆議院の半分にあたる計6回にとどまっています。参議院憲法審は隔週水曜日の開催が定着しており、長年にわたり「衆議院に比べて周回遅れ」と揶揄(やゆ)されてきた状況が、今回も変わっていないのです。
自民党、参院活性化への試み
このような参議院憲法審の停滞を打開するため、自民党は一つの起爆剤を投じました。それは、多くの参議院議員が関心を寄せる「合区」問題、すなわち人口が少ない隣接県を一つの選挙区とする現状の解消を、憲法審議会のテーマとして取り上げたことです。6月25日の参議院憲法審では、この「合区」問題について討議が行われました。衆議院憲法審で与党筆頭幹事を務める新藤義孝氏(自民党)は、今後もこの問題を議題としていく考えを示し、参議院における議論の活性化を狙っていることがうかがえます。
「合区」問題は、地方の声が国政に届きにくくなることへの懸念や、議員の選挙区維持・拡大といった、参議院議員自身の利害に直結するテーマです。この関心の高い問題を憲法改正議論の入り口とすることで、これまで消極的だった議員たちの参加を促し、改憲論議全体への関心を高めようとしたのでしょう。自民党としては、参議院における改憲議論を前進させるための、いわば「呼び水」としての活用を期待していたと考えられます。
「合区」提案も効果薄、議論は停滞
しかし、自民党の期待とは裏腹に、「合区」解消を呼び水とした参議院憲法審の議論は、現状では旧態依然とした「放談会」の様相から抜け出せていないようです。参議院の少数与党という立場や、立憲民主党をはじめとする護憲勢力の根強い影響力により、自民党が提示した「合区」解消案が、改憲論議全体を大きく前進させるまでには至っていません。
参議院憲法審の開催回数が衆議院の半分であることからも、その議論のペースの遅さが浮き彫りになっています。個々の議員が自説を展開する場にとどまり、具体的な論点整理や条文イメージの作成といった、建設的な議論にはなかなか結びついていないのが実情と言えるでしょう。参議院議員の関心を集めやすいテーマを掲げても、それを改憲論議全体への橋渡しとするには、護憲勢力との隔たりが大きく、容易ではないことが改めて示されました。
改憲発議への道筋、衆院頼みか
憲法改正案が国会で発議されるためには、衆議院と参議院の両方でそれぞれ3分の2以上の賛成を得る必要があります。しかし、現状では参議院憲法審の議論は停滞しており、自民党が提案した「合区」解消策も目立った効果を上げていません。このような状況を踏まえると、憲法改正に向けた論議は、圧倒的多数の議席を持つ衆議院主導で進めざるを得ない、という見方が強まっています。
自民党は、衆議院憲法審で緊急事態条項に関する条文イメージという「最大公約数」を取りまとめましたが、これを参議院でどのように審議し、合意形成を図っていくのか、具体的な道筋は見えていません。会期末が迫る中で、参議院での改憲論議が活性化しないまま、衆議院での議論だけが進むという事態になれば、改憲実現に向けた道のりはさらに険しくなるでしょう。国民の関心も高くない中、国会での憲法改正論議は、依然として大きな壁に直面していると言えます。
まとめ
- 衆議院憲法審では緊急事態条項の条文イメージ提示など具体化が進んでいる。
- 参議院憲法審は開催回数も少なく、衆議院に比べて議論が低調な「周回遅れ」状態が続いている。
- 自民党は参議院議員の関心が高い「合区」解消をテーマに掲げ、議論活性化を狙ったが、効果は限定的だった。
- 護憲勢力の影響力が根強い参議院では、議論が「放談会」の域を出ず、停滞が続いている。
- 憲法改正には衆参両院での発議が必要だが、参議院での進展が見込めないため、改憲論議は事実上、衆議院主導で進む状況となっている。