2025-10-16 コメント投稿する ▼
グランディUNHCR高等弁務官が日本訪問 3億ドル資金不足で支援縮小危機
国連難民高等弁務官事務所のフィリッポ・グランディ高等弁務官は2025年10月15日、日本を訪問し、岩屋毅外務大臣や赤堀毅外務審議官と会談しました。 グランディ氏は日本からの長年の支援に謝意を示すとともに、UNHCRが深刻な資金不足に直面しており、2025年を締めくくるには少なくとも3億ドルの追加資金が必要だと各国に呼びかけています。
人間の安全保障で連携確認
岩屋外相との会談で、岩屋大臣は難民・避難民に寄り添い支援を行うUNHCRの職員に敬意を表しました。その上で、中東をはじめ世界の人道状況は引き続き深刻であり、故緒方貞子国連難民高等弁務官が提唱した人間の安全保障の観点に立ち、人道状況を改善すべく共に取り組んでいきたいと述べました。
グランディ高等弁務官は長年の日本からの支援に対する深い謝意を述べるとともに、世界各地の難民・避難民を支援すべく日本と連携していきたいと応じました。両者は難民・避難民支援における人道・開発・平和の連携の更なる推進や民間セクターとの連携の重要性等についても意見交換を行いました。
「難民支援は大切だけど、まず国内の困ってる人を助けるのが先じゃないの」
「66億円も出すなら、その分を減税に回してほしい。国民は物価高で苦しんでる」
「人道支援は重要。でも使い道が本当に適切か、しっかり監視してほしい」
「海外援助は国益の説明が必須。ポピュリズム外交はやめてほしい」
「日本も財政難なのに、なんで海外にばらまくの。自分の国を優先すべき」
10年のリーダーシップに敬意
赤堀外務審議官との意見交換では、赤堀審議官が10年にわたりリーダーシップを発揮してきたグランディ氏に深い敬意を表した上で、多くの人々が避難を余儀なくされており、こうした状況を改善するためにUNHCRと連携していきたいと述べました。
グランディ氏は今回の日本訪問に関してSNSで「国連及びUNHCRの重要な協力国である日本を最後に訪問するにあたり、その政府と国民による強力な支援に感謝申し上げるとともに、人道支援及び難民対応への取り組みが揺るぎないものであることを願っております」と述べています。
資金枯渇で支援縮小の危機
グランディ氏は2025年10月6日、ジュネーブで開催されたUNHCR執行委員会第76回年次会合で深刻な警告を発しました。UNHCRの2025年の利用可能資金は39億ドルにとどまり、2024年と比べて25パーセント減少する見込みです。活動予算が40億ドルを下回るのは2015年以来で、当時の強制避難民数は約6000万人でしたが、現在は1億2200万人に達しています。
グランディ氏は「これは単なる財政危機ではなく、壊滅的な財政的影響をもたらす政治的選択の結果だ」と強調しました。資金不足により2025年にはUNHCRの職員約5000人が職を失い、世界185の事務所が縮小または再編されています。
性的暴力の予防プログラムや拷問被害者への心理社会的支援が停止し、多くの学校が閉鎖され、食料支援と現金給付が減少し、再定住プログラムが凍結されています。グランディ氏は「このままでは2026年初頭に運営費用を賄う資金がなくなる」と警告し、各国に柔軟な資金提供を求めました。
日本は約66億円を拠出
日本政府はUNHCRに対して、令和6年度補正予算で2025年の活動に約4701万米ドル、約66億円を拠出することを決定しています。日本は主要なUNHCR支援国の一つで、2023年の拠出額は約1億5100万ドルで世界4位でした。
しかし、海外援助については国益の説明が必須であり、ポピュリズム外交との批判もあります。国内でも物価高や経済的困難に直面する国民が多い中、海外への資金拠出には慎重な説明責任が求められます。
世界の強制避難民数は過去最高を更新し続けており、シリア、ウクライナ、アフガニスタン、スーダンなど各地で人道危機が深刻化しています。国際社会全体での負担と責任の共有が求められる中、日本の役割も問われています。