2025-10-19 コメント投稿する ▼
神谷宗幣氏が国立大外資就職に疑問、税金投入巡り波紋
憲法が保障する職業選択の自由を認めた上での発言ですが、国立大学のあり方と税金投入の是非をめぐる議論を呼んでいます。 神谷氏の発言の背景には、国立大学への多額の税金投入があります。 地方の国立大学においては、外資系企業への就職はさらに限定的で、地元企業や地方自治体への就職が中心となっています。 国立大学は地域の教育研究の中核を担い、地域社会に貢献する人材を輩出する役割も果たしています。
国立大学には年間1兆円超の税金
神谷氏の発言の背景には、国立大学への多額の税金投入があります。国立大学法人運営費交付金は2025年度で約1兆784億円に達し、これは全て国民の税金から賄われています。法人化された2004年度には約1兆2415億円でしたが、効率化などの名目で減少傾向が続き、国立大学協会は2024年6月に「もう限界」と訴える声明を出すなど、大学側は財政難に苦しんでいます。
国立大学は授業料だけでは運営できず、運営費交付金が収入の大きな柱となっています。東京大学には年間約800億円、京都大学には約540億円が配分されるなど、旧帝国大学を中心に多額の税金が投入されているのが実情です。
「税金で教育受けて外資系に就職って、確かに変だと思う」
「でも職業選択の自由があるのに、国立大生だけ制限されるのはおかしい」
「国立大の役割って国内企業の人材供給なの?それは違うでしょ」
「外資系でも日本で働いて納税してるなら問題ないんじゃない?」
「神谷さんの言いたいことは分かるけど、これは極論すぎる」
外資系就職は実際どれくらいか
神谷氏は国立大生が外資系企業を選びがちだと指摘しましたが、実際のデータを見ると状況は複雑です。東京大学や京都大学などトップクラスの国立大学では、外資系コンサルティングファームや金融機関への就職者が一定数いるものの、全体から見れば少数派です。むしろ国内の大手メーカーや官公庁、教育機関への就職が依然として多数を占めています。
地方の国立大学においては、外資系企業への就職はさらに限定的で、地元企業や地方自治体への就職が中心となっています。国立大学は地域の教育研究の中核を担い、地域社会に貢献する人材を輩出する役割も果たしています。
国益と個人の自由のバランス
神谷氏は演説で「個人の自由はあるが、政治の目的は国民の暮らしをよくして国力を強めることだ。その枠の中で国民に選択肢を与えることが必要じゃないのか」と持論を展開しました。この発言は、税金を投入した教育を受けた人材が国内企業で活躍すべきだという主張ですが、憲法で保障された職業選択の自由との兼ね合いが問題となります。
外資系企業であっても日本国内で事業を展開し、雇用を生み出し、法人税を納めている企業は多数あります。また、国立大学出身者が外資系企業で培った経験やノウハウを、後に日本企業や日本社会に還元するケースも少なくありません。単純に外資系への就職が国益を損なうと断定することには無理があるでしょう。
教育の目的と大学の役割
国立大学への税金投入の目的は、単に国内企業への人材供給だけではありません。高度な研究を推進し、学術の発展に寄与すること、幅広い教養と専門知識を持つ人材を育成すること、地域社会の発展に貢献することなど、多面的な役割を担っています。
大学教育は特定の企業や業界のためだけに行われるものではなく、社会全体の発展と個人の能力開発を目的としています。国立大学で学んだ学生が、その能力を最大限に発揮できる職場を自由に選択できることは、むしろ健全な社会の証しと言えるでしょう。
神谷氏の発言は、グローバル化が進む現代社会において、国立大学のあり方や税金の使途について改めて考える機会を提供したとも言えます。しかし、職業選択の自由を制限するような方向性は、憲法の理念や個人の権利を軽視するものとして、慎重な議論が必要です。税金投入の是非を問うのであれば、就職先の制限ではなく、大学の教育内容や研究成果、社会への貢献度などを総合的に評価する仕組みを構築することが、より建設的なアプローチではないでしょうか。