2025-10-31 コメント投稿する ▼
年収の壁「178万円引き上げ」4党協議へ、維新参加で自民が多数派形成
従来の自民・公明・国民による3党協議から維新が新たに参加することで、2024年12月に合意した「178万円を目指して2025年から引き上げる」という目標実現に向けた体制が強化される見込みです。 自民、公明、国民の3党は2024年12月、年収の壁について「178万円を目指して2025年から引き上げる」と合意しました。
新たな協議枠組みで政権基盤を強化
自民党の鈴木俊一幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2025年10月31日、国会内で会談を開き、所得税が生じる「年収の壁」の引き上げを巡り、両党に日本維新の会と公明党を加えた4党の枠組みで協議する方針で一致しました。従来の自民・公明・国民による3党協議から維新が新たに参加することで、2024年12月に合意した「178万円を目指して2025年から引き上げる」という目標実現に向けた体制が強化される見込みです。
自民党は現在、少数与党として厳しい政権運営が予想される中にあり、多数派形成へ連携を模索する狙いが鮮明です。維新は2025年10月21日の臨時国会で高市総裁に投票し、閣外協力の形で自維政権が誕生しました。今回の4党協議は、この連立体制を実質化する重要なステップとなります。
「年収の壁を完全に解決すれば、多くの労働者が働き方を自由に選択できるようになる」
「179万円への引き上げは、パート・アルバイト女性の働き控えを解消できる有力な政策だ」
「自民の案は妥協が多すぎた。178万円への統一目標でいくべき」
「維新が参加することで、より実現可能な政策立案ができると考える」
「4党で一致すれば、参院でも法案成立の可能性が高まる」
複雑に絡み合う「年収の壁」の仕組み
年収の壁とは、パート・アルバイトなど短時間労働者が特定の収入を超えると、税金や社会保険料が急増する現象を指します。主に103万円、106万円、130万円の3つの水準が存在します。103万円を超えると所得税が発生し、106万円を超えると社会保険料の負担が生じ、130万円を超えると扶養から外れるため、いずれも手取り収入が減少します。
パート・アルバイト従業員、特に有配偶女性は、これらの壁を超えないよう意図的に勤務時間を制限する「働き控え」の傾向が強いとされています。人手不足が深刻化する中、この就業調整は重要な政策課題となっていました。
2月協議の不調から4党連携へ
自民、公明、国民の3党は2024年12月、年収の壁について「178万円を目指して2025年から引き上げる」と合意しました。しかし2025年2月の3党協議では、引き上げ幅をめぐり自民・公明は「160万円」案を示したのに対し、国民民主党は「178万円」の達成を目指して一致できず、事実上の破談に至りました。
自民・公明案では、年収200万円以下の層のみ160万円への引き上げを適用する対象者限定方式が特徴でした。これに対し、国民民主党は所得階層を問わず一律で178万円への引き上げを求め、両者の立場は大きく異なっていました。
維新参加による政策決定の動き
今年10月の自民・維新の連立樹立を機に、政府与党側の構図が変わりました。維新は自民と異なり、より急進的な改革志向を持つとされており、4党協議への参加により、年収の壁引き上げ施策がより大胆に推し進められる可能性が高まっています。
会談には自民の小林鷹之政調会長、国民の浜口誠政調会長も同席し、実務的な協議体制も整備されました。4党による多数派形成が成功すれば、参議院でも法案成立が確実になります。
働き方改革と人手不足対策の両立
年収の壁の引き上げは、単なる税制改正に留まりません。企業の人手不足緩和、女性の就業機会拡大、働き手の収入増加につながる重要な政策として位置づけられています。政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」により、社会保険料の負担軽減や企業への助成金制度も整備されており、総合的な支援体制が構築されつつあります。
4党協議の進展により、年収178万円への引き上げがいつ実現するかが、今後の政権運営と国民生活に影響する主要な焦点となっています。