2025-08-04 コメント投稿する ▼
自民党政権、外国青年5,933人を全国に招致 JETプログラム拡大と巨額財政負担に賛否
外国青年5,933人を日本へ 自民党政権のJETプログラム拡大
自民党政権は令和7年度、世界54か国から外国青年5,933人を日本各地へ招致し、語学指導や地域レベルでの国際交流に従事させる方針を示した。これは1987年度から始まったJETプログラム(外国青年招致事業)の一環で、総務省、外務省、文部科学省、自治体国際化協会(CLAIR)の協力のもと、地方自治体が主体となって実施される。
JETプログラムは、外国語教育の充実、地域の国際化、インバウンド対応、小学校での英語教育の早期化、多文化共生などを目的としており、世界最大規模の人的交流プログラムとして知られる。今回の参加者は、アジア地域から中国、韓国、モンゴル、インドネシア、インド、フィリピン、シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、ミャンマー、バングラデシュ、ブータンの13か国を含む。
受け入れは全国46都道府県、781市町村、157の私立学校法人など計984団体に及び、地域の学校や行政機関、観光部門などで活動が行われる予定だ。
財政措置と国費投入の実態
外務省は、来日前の選考や事前研修、帰国後のネットワーク構築などを担当し、令和7年度の予算として1.39億円を計上している。一方、総務省は地方財政措置としてJET参加者の報酬や旅費などを普通交付税で手当てしており、人口170万人規模の標準的自治体で約2億5千万円を投入。市町村レベルでは、人口10万人規模で120万円+参加者数×482万円が基準となる。
つまり、JETプログラムは国と地方双方から多額の財政支援を受けており、その総額は全国で数百億円規模に達するとみられる。これらの財源はすべて税金で賄われるため、その効果や費用対効果については慎重な検証が求められる。
市民の受け止めは賛否両論
地域の学校や観光業界では歓迎の声が多い一方、財政負担や優先順位への疑問も少なくない。特に物価高や人口減少、地域の教育現場の人材不足など、日本国内の課題が山積する中で、「本当に今、外国人招致にこれだけの予算を割くべきか」という視点が浮上している。
市民からは次のような意見が寄せられている。
「国際交流は大事だが、地方の財政は火の車だ」
「日本語を学びたい外国人が来るのは歓迎だが、生活費や待遇は全部税金」
「子どもの英語教育より、日本語力や算数の底上げを優先してほしい」
「こうした事業で地域が活性化するならいいが、結果が見えにくい」
「受け入れ側の自治体職員の負担が増えることも考えるべき」
国際交流の意義と課題
JETプログラムは、外国青年に日本文化を深く理解してもらい、帰国後も日本との友好関係を維持する「人的外交」の側面を持つ。実際、過去の参加者の中には、帰国後に日本企業と取引するビジネスを立ち上げたり、外交官や政治家となって日本との架け橋になる人材も存在する。
一方で、現場からは「教育効果の持続性が見えにくい」「短期間の任用では地域定着が難しい」「成果を数値化する仕組みが弱い」といった課題も指摘されている。また、人口減少や教員不足が進む中、外国青年による語学指導が日本の教育現場の構造的問題を覆い隠す可能性もある。
日本政府としては、国際交流の推進と同時に、その効果を国民に分かりやすく示し、財政負担の妥当性を説明する責任がある。特に、納税者が納得できるような成果の見える化と、受け入れ自治体の負担軽減策が不可欠だ。
今後の方向性
令和7年度のJETプログラムは、人数・国数ともに大規模なものとなるが、今後は受け入れ地域の実情に応じた柔軟な制度設計や、事業全体の効果検証が求められる。また、日本の教育・地域活性化の中で外国人材がどのように貢献しうるのかを明確にする必要がある。
JETプログラムは世界最大規模の国際交流事業という看板を持つが、それが単なる「規模の自慢」に終わらず、真に地域社会と日本全体の未来に資する制度であるための改善が、今まさに問われている。