2025-07-23 コメント投稿する ▼
逆輸入はトランプ関税への苦肉の策?政府が日本車の米国生産品に国内シフト要請
「逆輸入」要請の裏にトランプ氏の関税圧力
政府が自動車業界に対し、アメリカで生産した日本車の「逆輸入」を進めるよう要請する方向で調整を進めていることが明らかになった。背景には、米国のトランプ前大統領が再選をにらんで再び打ち出した関税強化策がある。
トランプ氏は再び、日本車などの輸入品に最大15%の関税を課す方針を表明しており、日本の自動車業界は警戒を強めている。こうした動きに先手を打つ形で、政府は「米国内で製造した車両を日本市場に供給する」という新たな選択肢を業界に提示し、経済的な打撃の回避を図ろうとしている。
国内供給の安定化と経済安全保障のはざまで
今回の要請は、単なる貿易政策への対応にとどまらない。円安が長期化し、新車価格が上昇傾向にあるなか、供給不足の車種を米国工場から輸入することで、国内市場の安定を図る狙いもある。加えて、経済安全保障の観点からも、グローバル生産の柔軟性を確保する必要があるという判断が働いている。
しかし、現地生産の拡大は従来、米国市場での販売強化を目的としたものであり、それを「逆輸入」するというのは、メーカーにとっても想定外の対応だ。国内の中小部品メーカーからは次のような疑念の声も上がっている。
「アメリカで作った日本車を、わざわざ日本に戻して売るって本末転倒では?」
「国内で作れば雇用も経済も回るのに、逆輸入に税金をかけて支援するなんて変だ」
「トランプの関税の尻拭いを、国内産業がやらされるのは納得いかない」
「物流費と環境負荷が増えるだけじゃないか」
「トランプの顔色を見て政策決めるな」
国民・市民・有権者の声からも、不安や不満が噴出している。
トランプ関税の再来で日本車は再び標的に
トランプ氏は過去の大統領任期中、輸入車を「国家の安全保障上の脅威」と位置づけ、自動車や部品への関税強化を実行。特に日本車に対しては「不公平な取引」として強硬な姿勢を取ってきた。今回の発言もその路線を踏襲するもので、もし再選となれば、日米の通商関係は再び緊張状態に入る可能性が高い。
このため、日本政府はリスクヘッジの一環として、逆輸入による供給の確保と価格安定策を並行して模索している。だが、関税回避のための「応急措置」が、日本の産業構造や雇用環境に中長期的な悪影響を及ぼす懸念も拭えない。
本当に必要なのは逆輸入ではなく国内回帰
現時点で政府は、メーカーに対する直接の義務付けはしていないものの、「積極的な協力」を求める姿勢を強めている。一方で、自動車業界からは「本質的な課題は、国内の供給体制や税制、補助制度の見直しにある」との声も漏れる。
特に電動化の進展や国際競争の激化を踏まえると、国内生産への回帰や地方工場の活用こそが、長期的な成長戦略になるとの見方も根強い。
円安と貿易摩擦、環境政策と安全保障。その狭間で浮かび上がるのは、「日本車を日本で作る」という原点に立ち返る必要性ではないか。政治の役割は、海外リスクに振り回されるのではなく、自国の産業と雇用を守る基盤を築くことにある。