2025-07-06 コメント投稿する ▼
相互35%・自動車50%関税の危機 日米交渉暗礁、日本政府は打つ手なし
米国の“圧力外交”に直面
トランプ米大統領による強硬な通商政策が、日本経済に再び大きな影を落としている。日米間で続く関税交渉は行き詰まり、日本政府は“次の一手”を見出せずにいる。特に日本の経済を支える自動車産業が標的となっており、相互関税35%・自動車関税50%といった“最悪シナリオ”が現実味を帯びつつある。
このタイミングで譲歩すれば、選挙戦真っ只中の石破政権にとって政治的打撃となる。だが、トランプ氏の方針転換を止められなければ、日本経済は深刻な打撃を受ける恐れがある。
譲れぬ日本、怒る米国
関税交渉の担当は、赤沢亮正・経済再生担当相。7月3日と5日、米ラトニック商務長官との間で電話協議を行い、「突っ込んだやり取りをした」(政府関係者)とされるが、対面協議は実現せず。トランプ政権は、相互関税10%+日本に対する14%の上乗せ分の停止期限を7月9日までと設定していたが、そのまま終了する可能性が高まっている。
本来、日本はこの上乗せ分の撤回を求め、交渉の延長と譲歩を避けたい構えだった。しかし、トランプ氏は対日赤字の象徴として自動車産業を名指しで批判し、妥協の余地は狭まっている。
経済への影響は甚大
野村総合研究所・木内登英氏の試算では、相互関税35%・自動車関税50%が発動されれば、日本の実質GDPは1.29%下落、輸出は4.11%減少、景気後退入りの確率は50%超という衝撃的な数字が並ぶ。現在の関税措置(0.47%減)と比較しても経済損失は約3倍に膨らむ。
加えて、設備投資は0.99%減、個人消費も0.69%減となる見込みで、企業活動・家計双方に深刻な影響が出るのは避けられない。
政権に“ウルトラC”なし
石破茂首相は、参院選(20日投開票)を目前に控え、国内では「米国に対して毅然とした対応を」との声も強まる。一方で、外交的な妥協や関税引き上げ容認となれば、「政権が国民生活を犠牲にした」との批判が噴出するのは必至だ。
だが、交渉の打開策は見えていない。日本政府内でも「手詰まり感」は否めず、ある官邸関係者は「石破政権にとって、ウルトラCはもうない」とこぼす。
対米外交のあり方に問われる覚悟
トランプ氏は選挙後の動向も不透明で、仮に再選すればさらなる通商圧力や関税強化が続く可能性がある。一方、日本としては米国市場を失えば経済へのダメージは甚大で、対抗措置を取る余力も乏しい。
この状況は、これまでの対米追随一辺倒の外交姿勢を見直す契機でもある。短期的には譲歩を拒む強い姿勢と、並行してEUやアジア諸国との経済連携強化など、中長期のリスクヘッジを進めることが求められる。
日本政府は今、「譲れば国民生活が犠牲に」「譲らねば外交・経済が孤立に」という難局の中で、決断の覚悟と戦略的構想力が問われている。