2025-06-28 コメント投稿する ▼
石破首相「自公政権の継続を」訴えるも…自民党、参院選目前で保守層離れに焦り
都議選大敗で露呈した“地盤沈下”
7月3日公示、20日投開票の参院選を目前に控え、自民党内では深刻な危機感が広がっている。28日に党本部で開かれた全国幹事長会議では、石破茂首相(自民党総裁)が「何としても自公政権を続けさせてほしい」と声を上げたが、会場に集まった都道府県連の幹部からは、現場の厳しい空気を訴える声が相次いだ。
背景にあるのは、今月行われた東京都議選での歴史的敗北だ。自民党は過去最低の獲得議席にとどまり、従来の保守支持層が明らかに離れつつある兆候が浮き彫りとなった。石破首相自身も「なぜ新しい政党が支持を集めているのか、党として分析する」と述べ、既存政党への信頼が揺らいでいる現状を認めた。
「現金給付」では支持は戻らない?
今回の参院選で自民党が打ち出している公約の柱は、「物価高対策としての現金給付」だ。だがこの施策に対しては、野党側から「その場しのぎ」「減税の方が恒久的で効果的」との批判が上がっている。これに対して石破首相は、「消費税減税は聞こえはいいが、社会保障の財源を無視して語っていいとは思わない」と反論。しかしこの説明がどこまで有権者に響いているかは未知数だ。
現金を配るというアプローチは、目先の対策にはなるかもしれないが、「構造的な経済改革」や「税制の抜本見直し」を求める有権者にとっては不十分だと受け取られかねない。とりわけ「減税こそ最大の経済対策」と考える保守系有権者からの支持をつなぎとめるには弱く、地方からは「もっと根本的な制度改革を訴えるべきだ」との声も出ている。
新興政党の伸長と“自民の鈍感さ”
都議選では、参政党や地域政党が目立つ成果をあげた。これまで「組織力」で選挙を制してきた自民党にとっては、無視できない変化だ。静岡県連の鈴木澄美幹事長は「党本部と現場の捉え方に乖離がある。現場の感覚はより厳しい」と述べたように、東京や地方都市での支持離れは想像以上に深刻である。
兵庫県連の黒川治幹事長も「地元市議選でも参政党の候補が当選している。今までと明らかに違う空気がある」と語り、従来の“自民当確神話”が崩れつつあることへの警戒感を隠さなかった。
党内では、派閥の政治資金パーティー収入の不記載問題なども引き続き尾を引いており、「信頼回復なくして勝利なし」という現実に向き合う必要がある。
「国民が見ているのは政党ではなく中身」
現在の政治状況は、もはや「自民だから」では票が取れない段階に入っている。小泉進次郎農水相も前日に「岩盤支持層だけを見ていたら自民は痛い目に遭う」と発言し、党内に波紋を広げたばかりだ。
ネット上でも、以下のような厳しい声が見られる。
「減税より給付?その場しのぎばっかでうんざり」
「“新しい政党”が強いんじゃない、自民が古すぎるだけ」
「もう地方じゃ“自民”ってだけで敬遠される空気あるよ」
「現場が悲鳴あげてるのに本部は耳を塞いでる」
「信頼回復もせずに票だけよこせは通じない」
このような声に向き合わずして、自民党が「再び国民政党としての信任」を得ることは難しい。信頼を取り戻すには、公約の中身、候補者の説得力、そして政治資金の透明化など、誠実な改革が不可欠だ。
問われる“政権の覚悟”と選挙戦略の見直し
石破首相は「先頭に立って戦う」と語ったが、問題は“戦う姿勢”そのものではなく、“何を訴えて戦うのか”という中身にある。物価高に苦しむ国民が求めているのは、現金ではなく生活の安定と将来への安心だ。給付金ではなく減税、透明性ある政治、そして政策に実行力があるか――それこそが、今問われている。
このまま「地盤・看板・カバン」に頼った選挙戦を続ければ、結果は明らかだ。もはや政党の名ではなく、「個人と政策」でしか支持は集まらない。参院選は、自民党にとって真の意味での岐路になる。