2025-05-22 コメント投稿する ▼
台湾に初の在外投票所設置へ 日本人有権者の声で実現、参院選から台北・高雄で投票可能に
台湾で初の在外投票所設置へ 参院選から在留邦人の利便性向上
日本政府は2025年夏に行われる参議院選挙に合わせて、台湾に居住する日本人が投票できるよう、現地に在外投票所を設置する方針を固めた。これまでは外交関係のない台湾には在外公館が存在せず、郵便投票や一時帰国が唯一の選択肢だったが、今回の措置により、在留邦人の選挙参加が格段にしやすくなる。
外交関係がない台湾で投票所開設
台湾に暮らす日本人は約2万1700人、そのうち有権者はおよそ1万6700人にのぼる。これまでは選挙のたびに、投票用紙を日本の選挙管理委員会に郵送するか、わざわざ一時帰国して投票する必要があり、多くの在留者にとって手間や費用の面でハードルが高かった。近年はこうした現状に対し、利便性を求める声が増えていた。
そこで政府は、在外公館の代替として、実務を担っている「日本台湾交流協会」の台北事務所と高雄事務所を投票所として活用する方針を明らかにした。外交上の制約を乗り越えて、現地に投票所を設けるのは初の試みとなる。
在外投票制度の現状と課題
海外に住む日本人が選挙に参加する方法は、主に以下の3通りとなっている。
* 海外の日本大使館・総領事館などの在外公館に出向いて投票する方法
* 投票用紙を取り寄せて、日本の選挙管理委員会に郵送する方法
* 一時的に日本に帰国して国内の投票所で投票する方法
しかし台湾には日本の大使館や領事館が存在しないため、現地での投票はこれまで認められていなかった。今回、交流協会の施設を使って投票を可能にすることで、他国と同様の環境が整うことになる。
外務省によれば、2024年の衆議院選挙では世界230か所以上の在外公館で投票が行われており、台湾での投票所設置はこうした流れの一環といえる。
制度改善にネットも好意的な反応
今回の動きに対し、SNSでは在留邦人を中心に好意的な声が広がっている。
「台北在住として、ようやく現地で投票できるようになるのは本当にありがたい」
「郵便投票の不安や面倒さから解放されるのは大きい。やっと改善された」
「外交関係がないとはいえ、国民の権利をきちんと保障する姿勢は評価したい」
「こういう柔軟な対応がもっと増えてほしい。他の在留国でも改善を期待」
「日本国民としての投票権がしっかり守られるようになって良かった」
今後の課題と広がる可能性
今回の台湾での投票所設置は、在外邦人の政治参加の幅を広げる大きな一歩だ。ただし、今後は投票所の運用体制やセキュリティ、広報の在り方など課題も残されている。さらに他の外交関係が希薄な地域でも、同様の取り組みが求められる可能性が高い。
政府としては、海外に住む国民の声をどうすくい上げるか、そしてその声を国内政治に反映させていく体制整備が問われている。