2025-05-20 コメント投稿する ▼
郵政民営化は失敗だったのか?公的資金650億円投入で問われる改革の意味
郵政改革が揺らぐ――公的資金650億円の注入で民営化の原点に疑問符
自民党は5月20日、全国の郵便局ネットワークを支えるために毎年650億円規模の公的資金を投入する方針を盛り込んだ郵政民営化法の改正案を、党の総務会で了承した。さらに、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の完全な民営化も先送りする。この動きは、官から民へという郵政民営化の流れを逆行させるものとして波紋を呼んでいる。
地方支援の名のもとに再び「国頼み」
かつて小泉政権が「改革の本丸」と掲げた郵政民営化は、民間の競争原理を導入することでサービス向上と財政健全化を狙ったものだった。だが、近年の郵便需要の落ち込みや高齢化社会の進行に伴い、特に地方では郵便局の経営が厳しさを増していた。
政府は今回、郵便局を「地域インフラ」と位置づけ、自治体の行政事務も担う拠点として活用する方向にかじを切る。そのための財源として年間650億円もの税金を投入するというが、これでは「民営化しても結局、国の支援が必要では意味がない」との批判を招いている。
完全民営化は再延期 政治の都合が色濃く反映
民営化の象徴であるゆうちょ銀行とかんぽ生命の完全株式売却も、またもや棚上げされることになった。政府保有の株式を売却して市場に委ねることで「民の力」を生かすはずだったが、今回の方針転換はむしろ公的関与を強化する方向にある。政治の都合や選挙対策が背景にあるとの見方も出ており、政策の一貫性が問われている。
「そもそも民営化は間違いだったのでは」――ネットに広がる疑念
SNSでは、今回の動きに対して批判的な声が相次いでいる。
「何のための民営化だったんだ?いまさら税金で支えるのなら最初から国営でよかったのでは」
「地方の郵便局は大事。でも、それを守るために民営化を台無しにしていいのか?」
「郵政民営化は壮大な失敗だったと認めたようなもの」
「民営化して利益を追求するなら、税金は一切投入すべきじゃない」
「政治の失敗を国民が税金で補填するのはもううんざり」
特に、かつて郵政民営化を推進していた立場の政治家が沈黙を守っていることに対しては、「責任を取るべきだ」との声も出ている。
民営化の理念はどこへ? 制度疲労を感じさせる展開
郵政民営化は、当時の構造改革の象徴だった。それが今や、民の力では維持できず、再び国家に頼る構図になったということは、政策そのものが制度疲労を起こしている証左かもしれない。
特定の地域にとって郵便局は生活の基盤となる存在である一方、全国一律の支援が本当に公平なのかという議論も必要だ。民営化から約20年。私たちは「国がやるべきこと」と「民に任せるべきこと」の境界線を改めて見直す時期に来ているのかもしれない。