2025-05-21 コメント投稿する ▼
改正NTT法が成立 全国一律サービス見直しへ 固定電話の担い手条件を緩和、制度改革の第一歩
NTT法改正が成立 全国一律電話サービスの担い手に柔軟性
政府は5月21日、NTTが提供する固定電話の全国一律サービスに関するルールを見直す改正NTT法などを参議院本会議で可決・成立させた。通信インフラの急速な進化や固定電話の利用減少といった背景を受け、今後の制度のあり方を柔軟にしていく方針が明確になった。
通信の原点「全国一律」の維持と変化
改正されたNTT法と電気通信事業法では、NTTがこれまで義務づけられてきた全国どこでも同じ料金で使える固定電話サービスについて、サービス提供の「担い手」としての要件が見直された。これは、通信環境が大きく変わる中で、特定の一社に重い責任を負わせ続けるのではなく、多様な選択肢や体制を模索するための第一歩ともいえる。
一方で、NTTが引き続きこの役割の中心的存在であることに変わりはなく、政府も公共性の高い通信インフラにおける安定的なサービス提供には強い姿勢を保っている。
株式の国有比率や外国資本制限は現状維持
今回の改正では、NTTの株式を国が3分の1以上保有し続ける義務、そして外国人株主の持株比率を制限する仕組みは、従来どおり残された。これは、国家の安全保障や通信の基盤となる重要インフラへの安定した関与を維持するための措置とされている。
NTT法の「改廃」も視野に 3年以内に再検討
特に注目を集めたのは、今後のNTT法の扱いだ。これまで「廃止を含めて検討」とされていた方針は、「改正または廃止を含めた見直し」と修正され、法の施行後3年を目処に再び議論することが盛り込まれた。急速に進化する通信技術にあわせて、制度の柔軟性を確保する狙いがうかがえる。
* 固定電話の全国一律サービスの担い手条件を緩和。NTT以外の事業者も可能性あり。
* 通信インフラの公共性を守るため、政府のNTT株式保有義務や外国資本制限は継続。
* 今後3年以内に、NTT法の抜本的見直し(改正・廃止を含む)を行う方向性が明記された。
* 通信の将来像をめぐる政策判断が、引き続き問われる段階に。
今回の法改正は、従来型の通信制度の見直しに向けた「助走」と言える。固定電話というインフラの縮小に直面する中で、いかに公平性と効率性を保ちながら通信サービスを提供し続けるか。今後の政府・国会の議論が、日本のデジタル社会のあり方に直結してくる。