2025-04-30 コメント投稿する ▼
石破首相、フィリピンで日系企業と「トランプ関税」対応協議 企業支援と外交交渉を強化へ
石破首相、フィリピンで日系企業と意見交換 米関税の影響に対応強化
フィリピンを訪問中の石破茂首相は4月30日、マニラ市内のホテルで現地に進出する日本企業の幹部と会談し、アメリカのトランプ政権による関税措置の影響について意見を交わした。石破首相は、企業のニーズを丁寧に把握しながら、対策に万全を期す考えを示した。
石破首相は会談で、「『トランプ関税』が世界を揺るがしている。事情は各国により異なるが、米中の関税措置の応酬のようなことになると、それがまた各企業にいろいろな影響を及ぼすことになる」と述べた。さらに、「企業に対する資金繰りなどの支援の要件も改めたいと思っているが、需要がある前から準備しておかなければ意味がない。世界中でいろいろな企業が活躍しており、細かく対応したい」と語り、影響を受ける企業のニーズを丁寧に把握しながら、対策に万全を期す考えを示した。
米国の関税措置、日本経済に深刻な影響
トランプ政権は、日本からの自動車や電子機器などの輸入品に対して25%の関税を課す措置を導入し、日本企業に大きな影響を与えている。帝国データバンクの試算によれば、関税率が24%に戻る場合、2025年度の日本の実質GDP成長率は従来予測より0.5ポイント低下すると予測されている。また、日本全体の企業の経常利益は減少に転じ、倒産件数は3.3%(約340件)増加すると見込まれている。
自動車産業への影響も深刻で、2025年3月の日本の工業生産は前月比1.1%減少し、特に自動車生産は5.9%減少した。これは、トランプ政権による関税政策が日本の製造業や他の多くの産業に影響を与えているためである。
日本政府、企業支援と外交交渉を強化
石破首相は、企業に対する資金繰りなどの支援要件を改める意向を示し、需要がある前から準備しておく必要性を強調した。また、世界中で活躍する企業に対して細かく対応する考えを示した。
一方、政府は外交交渉も強化しており、赤沢亮正経済再生担当相が再度訪米し、関税交渉を行う予定である。日本の対米輸出総額の約87%がすでにトランプ関税の対象となっており、残る医薬品や半導体も個別に検討される見込みである。
東南アジアとの連携強化、安全保障でも一致
石破首相は29日、フィリピンのマルコス大統領と首脳会談を行い、安全保障分野での協力を強化していくことで一致した。また、これに先立つベトナム訪問でも、チン首相やトー・ラム党書記長などと会談し、外務・防衛の次官級協議を新設するなど、安全保障での協力を具体化することで一致した。これらの動きは、対中国を念頭に置いたものであり、東南アジアでの足場を固める狙いがある。
- 石破首相は、フィリピンで日系企業の幹部と会談し、トランプ政権の関税措置の影響について意見を交換。
- トランプ政権の関税政策により、日本の実質GDP成長率が0.5ポイント低下し、企業の経常利益が減少、倒産件数が増加する可能性がある。
- 日本政府は、企業支援の要件見直しや外交交渉を強化し、関税問題への対応を進めている。
- 石破首相は、フィリピンやベトナムとの安全保障分野での協力を強化し、東南アジアでの連携を深めている。
日本政府は、トランプ政権の関税政策による影響を最小限に抑えるため、企業支援や外交交渉を通じて対応を強化している。今後も、関係各国との連携を深め、経済と安全保障の両面での安定を図ることが求められる。