2025-11-30 コメント: 1件 ▼
石破茂氏「中国の手先」批判の舞台裏 大使館の切り取り拡散と偽情報の連鎖
かつての1972年の日中国交正常化以降、日本の歴代政権が「台湾は中国の一部」とする中国の立場を理解し尊重してきたことを前提にした外交が続けられてきたという立場です。 この石破氏の発言を受けて、2025年11月28日、駐日中華人民共和国駐日本国大使館 が公式X(旧Twitter)で「1972年以降、日本の歴代政権は台湾は中国の一部とする中国側の立場を理解し尊重してきた。
石破氏の発言とその狙い
2025年11月23日、元首相の石破茂氏は、現職の高市早苗首相による「台湾有事」「存立危機事態」発言を受け、テレビ番組でこう述べました。かつての1972年の日中国交正常化以降、日本の歴代政権が「台湾は中国の一部」とする中国の立場を理解し尊重してきたことを前提にした外交が続けられてきたという立場です。彼は「我が国は中国との関係なしでは立ち行かない」として、日中関係の安定こそが国益だと警告しました。
翌26日、都内での講演でも同様の趣旨を繰り返し、日本が中国からの食品やレアアース、医薬品などに依存する経済構造も踏まえ、外交の慎重さを訴えました。石破氏は、現在のような日中関係の混乱が日本経済にも外交にも悪影響を及ぼすとの警鐘を鳴らしたのです。
切り取り拡散 ― 中国大使館の投稿が火種に
この石破氏の発言を受けて、2025年11月28日、駐日中華人民共和国駐日本国大使館 が公式X(旧Twitter)で「1972年以降、日本の歴代政権は台湾は中国の一部とする中国側の立場を理解し尊重してきた。変えてはならない」と投稿しました。これにより、あたかも「石破氏が台湾の中国帰属を明言した」と受け取られかねない構図が作られました。投稿には石破氏の写真も添えられていました。
この投稿を機に、国内では保守派を中心に石破氏への批判が激化しました。ある元参院議員は「めちゃめちゃ利用されてますやん…(溜息)」とつぶやき、別の参院議員は「中国に依存せずにすむ国を作るのが政治の責任」と、強く反発しました。こうして「中国の手先」「スパイ」という過激な言説も浮上し始めました。
偽情報の氾濫 ― 動画とSNSによるネガキャン
さらに悪質なのは、偽情報によるキャンペーンです。石破氏と公明党の斉藤鉄夫代表が「中国国営テレビ(CCTV)のインタビューで高市内閣を批判した」とする動画が、YouTubeやX、TikTokなどで拡散されました。ところが、映っていたのは日本国内のテレビ番組や党会合の映像であり、両者が中国メディアのインタビューを受けたという事実はありません。
例えば、あるチャンネルによるショート動画は再生数約49万回、いいね1万2000件超えという数字を記録しており、「石破、中国のご機嫌取りに必死」「スパイ確定でいいんじゃね」などといった誹謗中傷コメントが相次ぎました。こうした偽情報と罵倒の連鎖に、ネット上の議論は泥沼化しています。
一方で、これらの偽情報に対し冷静な反論をする声もあります。たとえばあるユーザーは、
「こうやって、悪意あるデマが拡散される」
「悪意あるコメントをしてる人達のせいで、真実が埋もれてしまう」
と訴えています。だが、こうした反論は炎上の嵐に掻き消されることが多く、情報の信頼性や受け止められ方の問題が浮き彫りとなっています。
問題の本質 ― 情報拡散の“雑さ”が外交と民主主義をゆがめる
今回明らかになったのは、外交発言という“デリケートな言葉”が、報道やSNSを通じてどれだけ歪められ、操作されやすいかということです。特に、相手国(今回は中国)が直接「自国に有利な形で発言を引用・拡散」することで、国内での議論や政治攻撃のきっかけを作り出せる。しかも偽情報や編集された動画を混ぜることで「真実」が見えづらくなる――。
石破氏自身は過去にも、中国側が自分の発言を歪めて利用する事例に警戒を示してきました。今回、その懸念が再現されただけではありません。日本社会全体で、「言葉をどう受け止め、どう広めるか」のルールと倫理をあらためて問い直さなければならないのです。
真実をきちんと確認せずに拡散すること――それは、外交の安全性も、日本の社会の健全性も、根底から揺るがしかねません。今回のような事案は、単なる政争や批判合戦にとどまらず、民主主義と情報のあり方そのものに関わる重大な警告です。