2025-05-02 コメント投稿する ▼
「米国債は交渉の武器に」加藤財務相が言及 日米関税協議に波紋広がる
米国債は「交渉のカード」 加藤財務相の一言が波紋
加藤勝信財務相がテレビ番組で語った一言が、日米の経済協議に新たな火種を投げかけている。2日のテレビ東京「日経ニュース プラス9」に出演した加藤氏は、日本が多額に保有している米国債について「交渉のカードになり得る」との考えを示した。
「日本が米国債を売る」という圧力?
現在、日本は世界最大級の米国債保有国だ。その保有額は1兆1000億ドルを超え、アメリカ経済にとっても無視できない存在だ。そんな中で「交渉の場に全てのカードを並べるのは当然」と語った加藤氏の発言は、日米関税交渉の文脈で受け取られた。
番組内で加藤氏は「為替介入を行う際の流動性として外貨建て資産、つまり米国債を持っている」と説明。言い換えれば、アメリカが日本にとって不利な通商政策をとるようなら、米国債を“切り札”としてちらつかせる可能性も否定しなかったわけだ。
市場の反応は冷静も、専門家は警戒
2日の為替市場では、円が1ドル=145円台とやや円安傾向を示したが、投資家たちの反応は限定的だった。とはいえ、専門家の中には懸念を表明する声もある。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏は「番組での発言はあくまで質問への一般論的な回答であり、市場への影響は小さい」としながらも、「不用意に“売却カード”を匂わせれば、米国側の警戒を呼びかねない」と指摘。
また、ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏も「仮に米国債の売却をちらつかせれば、米政府との関係悪化や世界の金融市場を揺るがすリスクがある」と警鐘を鳴らしている。
SNSでも賛否が交錯
X(旧Twitter)やThreadsでは、加藤発言についてさまざまな意見が投稿されている。
「ついに日本も交渉に強気で出るようになったか。応援したい」
「米国債を脅しに使うのはさすがにやり過ぎじゃない?」
「現実的に売れるはずないのに、カードにする意味あるの?」
「それくらいの強さを見せなきゃ、日本はいつまでもなめられる」
「市場を無駄に揺らすような発言は控えるべき。慎重に」
交渉本番はこれから
今後の日米経済交渉は5月中旬以降に本格化する見通しだ。特に、トランプ政権が打ち出した関税政策への対応が焦点となる。日本としては、自国経済を守るためにどこまで踏み込んだ主張ができるかが問われる。
米国債を交渉材料にするという“奥の手”が、本当に使われることはあるのか。加藤氏の発言は、その可能性を仄めかすにとどまったものの、日米関係の微妙な力学を改めて浮き彫りにした。