2025-02-27 コメント: 1件 ▼
全樹脂電池技術の中国流出疑惑を指摘 政府に調査を要求
福島氏が提起した問題の背景
APB社は、日産自動車出身の堀江英明氏が発明した次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」を開発し、川崎重工業と潜水艦への搭載に向けた共同研究を行っている企業だ。研究開発には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から75億円の補助金が支出されており、注目されている技術である。
福島氏は、APB社が乗っ取られる形で経営権が変わり、その後、中国企業との接点が増加したことに懸念を示した。特に、APB社の筆頭株主が2022年11月に半導体設計事業を主力とするTRIPLE-1(T社)に変わったことが、技術情報漏洩の発端となったと指摘している。
中国企業との関係と疑惑の証拠
福島氏は、T社から派遣された取締役が主導し、中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の技術者たちによるAPB社工場見学を挙げ、これが情報漏洩の一因であると主張している。工場見学の前にT社取締役はファーウェイに対し「全樹脂電池の素材に大変興味がある」「中国にも似たような研究がなされているが、量産化には至っていない」といった内容を伝えており、その後、中国側からの技術情報の問い合わせが頻繁にあったとされる。
福島氏は、「故意に行われた場合、これはスパイ行為に該当する」と述べ、T社の行動が経済安全保障上の深刻な問題であることを強調している。
政府に調査を要求
福島氏は、政府に対し、APB社からの情報漏洩が潜水艦技術に転用された場合、日中間の軍事力が逆転する可能性があることを警告し、早急な調査と対策を求めた。また、政府が経済安全保障を重視し、技術流出防止策を強化する必要があると強調している。
武藤容治経済産業相は、衆院予算委員会で調査に乗り出す意向を示し、警察庁や公安調査庁もこの問題に強い関心を持っていると報じられている。
全樹脂電池の特徴と懸念
全樹脂電池は、金属部材の代わりに樹脂を使用した次世代リチウムイオン電池であり、安全性や機能性が従来型を大きく上回る。特に発火や爆発のリスクが大幅に低減され、容量は従来型の約2倍、コストも半減できるという特長を持つ。この技術が軍事転用されるリスクが懸念され、福島氏はこれが国家安全保障上の重大な脅威であると警告している。
今後の対策と課題
福島氏は、全樹脂電池技術の流出問題が国家安全保障に与える影響を懸念しており、政府に対して徹底的な調査と対応を求めている。今後、政府は経済安全保障の観点から、先端技術の流出防止に向けた対策を強化し、技術漏洩を防ぐための国際的な監視体制を確立する必要がある。