2025-11-04 コメント投稿する ▼
高市早苗首相が高額療養費制度見直しで総裁選時の反対から転換姿勢示す
高市早苗首相は2025年11月4日の衆院本会議で、医療費の患者負担を抑える高額療養費制度について、自己負担上限額の引き上げ可能性を否定しなかった。 高市氏は2025年10月の自民党総裁選で行われた共同通信の政策アンケートに対し、5候補中で唯一、高額療養費制度の患者自己負担額引き上げに「反対」と明言していた。
高市早苗首相は2025年11月4日の衆院本会議で、医療費の患者負担を抑える高額療養費制度について、自己負担上限額の引き上げ可能性を否定しなかった。自民党総裁選時には「引き上げるべきではない」と明確に反対していたが、首相就任後に方針の変化を示した形となった。
立憲民主党の野田佳彦代表による代表質問に対し、首相は「患者の経済的な負担が過度にならないよう配慮しながら、増大する高額療養費を負担能力に応じてどのように分かち合うか、検討を丁寧に進める」と答弁した。厚生労働省の専門委員会で具体的な在り方を議論していると説明し、明確な方針を示さなかった。
高額療養費制度は、医療費の月間自己負担に上限を設ける重要な仕組みです。現在、年収約370万円から770万円の層では月額約8万100円、年収約770万円から1160万円の層では約16万7400円が上限となっています。
総裁選時とは異なる慎重姿勢
高市氏は2025年10月の自民党総裁選で行われた共同通信の政策アンケートに対し、5候補中で唯一、高額療養費制度の患者自己負担額引き上げに「反対」と明言していた。その際「医療保険制度改革全体の中で考える課題」としながらも、「引き上げるべきではない」と断言していた。
しかし、首相就任後の国会答弁では引き上げを否定せず、慎重な検討姿勢に転じている。野田代表は質問で、負担引き上げが患者の治療に深刻な影響を与えると指摘し、首相の見解を求めていた。
SNSでは国民の懸念の声も上がっている。
「高額療養費の引き上げって、結局病気になったら治療をあきらめろってことでしょうか」
「総裁選で反対って言ってたのに、首相になったら態度変わるなんて信じられない」
「がんの治療中だから、この制度がなくなったら本当に困る」
「医療費負担が増えたら、病院に行くのをためらってしまう」
「持病があるので高額療養費制度は命綱です。変更しないでほしい」
政府の改革計画は全面凍結
政府は当初、2025年8月から3段階に分けて高額療養費の自己負担上限額を引き上げる方針を決定していた。年収約370万円から770万円の層では、現在の約8万100円から約8万8200円への10パーセント引き上げを予定していた。
しかし、がん患者団体や野党の強い反発を受け、石破茂前首相が2025年3月に全面凍結を決定した。石破氏は「患者の皆さまに不安を与えたまま見直しを実施することは望ましいことではない」と説明し、制度見直し自体を見送った経緯がある。
野田代表をはじめとする立憲民主党は、この問題について「総力戦で引き上げ凍結のために奮闘してきた」と強調しており、高市政権下でも引き続き監視を続ける構えを見せている。
医療保険財政の厳しい現実
高額療養費制度見直しの背景には、医療保険財政の深刻な状況がある。高齢化の進展や医療技術の高度化により、高額療養費の総額は年々増加しており、現在は総医療費の6から7パーセント相当を占めている。
厚生労働省の資料によると、高額療養費の適用件数は2021年度で約6200万件に達し、2兆8000億円が支給された。直近10年間では年率3.4パーセントのペースで増加しており、医療費全体の伸び率1.6パーセントを大きく上回っている。
現役世代が負担する健康保険料の軽減を求める声も多く、政府は「負担能力に応じた公平な負担」と「社会保障制度の持続可能性の確保」を目的とした見直しを検討していた。高額療養費制度の自己負担限度額は2015年以降、一部を除き見直されてこなかった状況にある。
高市首相は厚生労働省の専門委員会での議論を通じて、今後の方針を決定する考えを示している。患者団体や野党の動向を見極めながら、慎重な対応を続ける見通しです。