2025-11-06 コメント投稿する ▼
高市早苗首相、売買春規制を検討へ―塩村文夏参院議員の問いに応じる形で規制強化の可能性が浮上
質問に立ったの塩村文夏参議院議員(立憲民主党)は、「外国人観光客による買春が横行している」「日本は女性の尊厳を守らない国というイメージが国際的に広がりつつある」との厳しい指摘を投げかけ、政府に対応を迫りました。
売買春規制強化に揺れる政局~塩村文夏氏が見た「外国人買春の横行」指摘
6日、参議院本会議における代表質問で、首相に就任したばかりの高市早苗氏が、売買春の規制強化に向けた前向きな姿勢を示しました。質問に立ったの塩村文夏参議院議員(立憲民主党)は、「外国人観光客による買春が横行している」「日本は女性の尊厳を守らない国というイメージが国際的に広がりつつある」との厳しい指摘を投げかけ、政府に対応を迫りました。
塩村氏の指摘と首相答弁
塩村議員は、冒頭から「“あいまいな規制”が買春の温床となっている」「観光立国をめざす日本が、女性の尊厳保護を軽視しているという海外からの批判が出ている」と述べ、外国人観光客による買春行為を国際的信用の観点から捉え直す必要性を訴えました。これに対し高市首相は「大変重いご指摘として受け止めた」と応じ、「近時の社会情勢などを踏まえ、規制のあり方について必要な検討を行う」との方針を初めて明らかにしました。現行の売春防止法は売買春を禁じていますが、売買春行為そのものに罰則は設けられていません。
また、首相は、SNSを通じた匿名・流動型犯罪グループ(いわゆる「トクリュウ」)が買春を資金源にしている可能性を挙げ、「売買春の根絶、トクリュウの撲滅に向けて、政府一体となって取り組みを進める」と強調しました。
現行法と規制の限界
国内法によれば、売春そのものは禁止されており、事業者を処罰できる枠組みはありますが、買春行為を行った側への罰則規定が存在しない点が指摘されてきました。今回の議論は、この“抜け穴”をどう埋めるかが焦点になっています。多くの関係者が「罰則を伴う実効的な制度に見直す必要がある」との認識を共有しています。
塩村議員の発言は、こうした法的空白と現実の乖離を浮き彫りにしました。女性の人権・尊厳の観点から、買春被害の実態を可視化し、外国人観光客の存在が加わることで「日本=買春の温床」というイメージまでも生まれかねないと訴えることで、問題を外交・観光・社会統合の観点からも捉えていました。
観光立国のリスクと女性の尊厳
日本政府が掲げる「観光立国」戦略の中で、海外からの訪日客は重要な経済資源です。ですが、塩村氏はその裏側に潜むリスクを冷静に指摘しました。例えば、買春を目的とする訪日客によって「女性を守らない国」という印象が広がる可能性があるというのです。このまま規制が手つかずであれば、女性活躍や男女共同参画といった政府の旗印にも逆風となる恐れがあります。
首相が「重く受け止めた」と応じたことは、政権にとってもイメージ管理上、重要な一歩と言えます。ただし、発言だけで終われば批判を免れません。今回指摘された「売買春行為そのものに罰則を設けるべきかどうか」「SNSなどを使った買春・犯罪グループの資金源規制をどうするか」といった具体的立案が次の焦点です。
今後の焦点と課題
政府が検討を本格化させる中、以下のポイントが今後の議論の鍵になります。
・買春を行った個人への罰則導入の有無とその範囲。
・外国人観光客を含む買春関係者の摘発強化及び日本国内での制度整備。
・SNS・匿名チャットなどを通じた犯罪グループ(トクリュウ等)への捜査・資金規制の強化。
・女性被害者の支援体制の拡充と、女性の尊厳保護を掲げた観光政策との整合性。
塩村議員の追及は、既存の制度では対応しきれない「グレーゾーン」の存在を政府に問いただした点で意義があります。首相答弁が単なるパフォーマンスに終わらないためには、法改正・制度設計・捜査体制という“実行の三点セット”が欠かせません。女性の尊厳を守るという建前だけでなく、実効的な制度設計が求められています。
観光客らによる買春等に起因する国際的評価の低下を防ぎ、国内の女性が安心して暮らせる環境を整えることは、国家ブランドと直結します。与党内でも議論が始まる可能性が高く、政局の動きにも注目です。