2025-05-01 コメント投稿する ▼
鳥取県、2馬力選挙対策で宣誓書導入へ|全国初の取り組みに有権者の反応は?
選挙の公正性を守る一歩
鳥取県は、いわゆる“2馬力選挙”と呼ばれる選挙手法への対策として、新たに「自分の当選を目的とする」と明記した宣誓書の提出を、立候補予定者に求める方針を打ち出した。この取り組みは、5月25日投開票の鳥取県議会・米子市選挙区の補欠選挙から初めて導入されるもので、全国でも前例のない取り組みとなる。
“2馬力選挙”とは?
「2馬力選挙」とは、自分が当選するつもりはないにもかかわらず立候補し、特定の候補者の応援を目的とする行為を指す。法律で明確に禁じられてはいないが、公平な選挙を揺るがしかねない手法として近年問題視されてきた。
鳥取県選挙管理委員会では、「候補者が本気で当選を目指しているのか」を明らかにするための手段として、独自に宣誓書を導入。提出が義務ではないものの、未提出の場合は理由を確認のうえ、選挙長が届け出を受理するかどうか判断する材料になるという。
参院選合区でも導入へ
この取り組みは地方選挙にとどまらない。夏に予定されている参議院選挙の鳥取・島根合区でも、両県の選挙管理委員会が合同で同様の宣誓書の提出を求める方針を示しており、制度の広がりが期待される。
県選管の石本昭太郎・事務局次長は、「選挙運動のルールを守るという意思を示す意味でも、立候補者には趣旨を理解し、積極的に提出してもらいたい」と呼びかけている。
有権者の声:期待と慎重論
有権者からは、この新しい制度への関心と期待が寄せられている。
米子市に住む80歳の男性は、「これは民主主義を守るために必要な措置だ。選挙は堂々と自分の力で勝ち取るもの」と話し、制度の意義を評価した。
また、40代の女性は「立候補する人には、自分がやりたいことをしっかり持っていてほしい。応援要員のような立候補は有権者としても困る」と語る。宣誓書があることで、候補者を選ぶ判断材料になるとの声もあった。
一方で、観光で訪れていた岡山市の男性(40代)は「立候補して票が入れば当選するのは当然のこと。2馬力も戦術の一つだと捉えれば、それをきっかけに政治に目が向くなら悪くないのでは」と、一定の容認論も見られた。
“制度のすき間”を埋める第一歩
今回の鳥取県の取り組みは、法的拘束力のない宣誓書という形ながら、選挙制度の透明性向上を目指す重要な試みだ。今後、他の自治体や国政選挙でも同様の対策が導入される可能性もあり、日本の民主主義の健全性を保つための一歩として注目されている。