2025-05-16 コメント投稿する ▼
官民ファンド6割が赤字、会計検査院が指摘 JOINやクールジャパン機構に深刻な財務問題
官民ファンド、6割が赤字 会計検査院が深刻な財務状況を指摘
会計検査院は2025年5月16日、国と民間が共同出資する「官民ファンド」についての財務状況を調査し、全23ファンドのうち14ファンド(約6割)が赤字を抱えていることを明らかにした。特に深刻な赤字を抱える4つのファンドは、事業の見通しの誤りや経営管理の甘さが影響し、多額の損失を計上している。
赤字に陥った主要ファンド 不透明な運用が問題に
今回の調査で赤字額が最も大きかったのは、国土交通省所管の「海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)」で、累積損失は954億円に達している。続いて、経済産業省が所管する「クールジャパン機構」が397億円の赤字、農林水産省の「農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)」が162億円、総務省の「海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)」が123億円の赤字となっている。
これらの官民ファンドは、もともと政府がアベノミクスの一環として立ち上げたもので、民間だけではリスクが高く、資金が集まりにくい分野に対し、官民連携で支援を行うことを目的としていた。しかし、投資先企業の選定基準が曖昧であったり、リスク管理が不十分であったりしたことが、赤字の主因となっている。
回収不能のリスク 投資額に見合わない結果
調査によると、官民ファンドが企業などに投資した総額は約5兆1300億円に上るが、そのうち約4兆2000億円はすでに回収されている。しかし、全体の10%にあたる167件の投資は、当初の予定を過ぎても回収が進んでおらず、このうち75%(126件)は出資先企業の価値が下落し、投資額の一部または全額が回収不能になる恐れがあるという。
会計検査院は、各ファンドに対し、回収額を最大化するための対策を求め、特に回収見込みが低い案件については、早期に見直しを図るよう指摘している。
官民ファンド側の対応と課題
最大の累積赤字を抱えるJOINは、「経営改善策を着実に実行し、損失削減に努める」とコメント。また、クールジャパン機構も「投資先の支援を強化し、回収額を最大化できるよう取り組む」としている。
一方で、専門家からは「官民ファンドはその名の通り、官と民の協力でリスクを分散しつつ事業を推進することが本来の目的。しかし、実際には政府主導での運営が強く、民間の視点が欠けている」との指摘も出ている。
ネットユーザーの反応
「税金で支えられているのに、この赤字はあり得ない。」
「クールジャパン機構の失敗は想定内。民間感覚が欠如している。」
「本当に日本の企業支援になっているのか疑問。」
「回収不能リスクがこんなに高いなんて、運用に問題があるとしか思えない。」
会計検査院の指摘により、官民ファンドの運営体制やリスク管理のあり方が問われている。今後、政府がどのように対応し、改善策を打ち出すかが注目される。