2025-11-08 コメント: 1件 ▼
立憲民主党前代表が政策転換を痛烈批判 レジシステム改修理由に疑問の声
立憲民主党(立民)の泉健太前代表が11月8日、エックス(旧ツイッター)で高市早苗首相の物価高対策をめぐる主張の変化を厳しく批判した。かつて食料品の消費税率ゼロを強く主張していた高市氏が、首相就任後に「レジシステムの改修等に一定の期間が必要」として慎重姿勢に転じたことを指摘。立民は食料品消費税ゼロ法案を国会に提出し、高市政権への政治的圧力を強めている。
現在の物価高は数十年にわたる自民党政治の失策の結果であり、財政出動や減税による対策は一刻の猶予も許されない状況だ。しかし政権与党の対応は国民の期待に応えているとは言い難い。
高市首相の「手のひら返し」が国民の怒りを招く
泉氏は8日のエックスで「高市総理、就任前の主張はどこへ?」と投稿し、高市氏の変節ぶりを痛烈に批判した。立民の主張として「高市総理は食料品消費税ゼロ税率は国の品格に関わるとまでおっしゃった。一緒に実現を!」と呼びかける一方、高市氏の現在の答弁として「レジシステムの改修等に一定の期間が」と技術的理由を挙げていることを対比させた。
高市氏は2025年5月のインターネット番組で、物価高対策として食料品の消費税率をゼロ%に引き下げるべきだと強く主張していた。当時の石破茂首相(現在は退任)が消費税減税に否定的な答弁をしたことについて「かなりがっかりしている」と不満を表明し、食料品の消費税率ゼロは「国の品格に関わる」問題だと訴えていた。
しかし首相就任後の11月7日の衆院予算委員会では、立憲民主党の本庄知史政務調査会長の追及に対し、「自民党税制調査会では賛同を得られず、自分が所属する政党で賛同を得られない事をいつまでもつき通すわけにいかない」と後退した姿勢を見せた。
「高市総理、就任前は食料品消費税ゼロで熱弁振るってたのに、今度はレジがどうのこうのって、何それ?」
「総理になった途端に手のひら返し。これが自民党政治の本質だよ」
「レジシステムの問題なら、増税の時はどうしてたんだ?即座に対応してたじゃないか」
「高市さんも結局は党内政治に屈服するのか。期待してただけにがっかり」
「食料品消費税ゼロは国の品格の問題と言ってたのに、レジの問題で諦めるなんて」
技術的障壁は「言い訳」との指摘も
高市氏が減税実施の障害として挙げる「レジシステムの改修」については、専門家から疑問の声が上がっている。高市氏のブレーンとされる元内閣官房参与の本田悦朗氏は11月6日のフジテレビ系「サン!シャイン」で、実際にスーパーマーケットのマネジャーに確認したところ「即できますと。すぐやりますと」の回答を得たと証言した。
本田氏は「レジシステムの変更に1年もかかるわけがない。でも、自民党の中で反対が多い。ものすごい論争が起こって時間がかかるのであれば、即効性のあるガソリン税暫定税率廃止はすぐできる」と指摘し、技術的な問題ではなく政治的な抵抗が主因だとの見方を示した。
高市氏は予算委員会で「残念ながら日本の遅れたPOSレジシステムのせいでございます」と述べ、一部のチェーン店のPOSレジシステムについて「8%と10%で固定し切って、いろんな在庫管理などに繋がっているもので1年、もしくはそれ以上かかるものもある」と説明した。しかし業界関係者からは「1年は過大で、半年程度で対応可能」との声も出ており、技術的障壁を理由にした減税見送りへの批判が強まっている。
立憲民主党が法案提出で政治的攻勢
立憲民主党は高市政権への対抗策として、食料品消費税ゼロ法案の国会提出を決定した。同党は11月上旬に党内で法案を了承し、減税の開始時期を2026年10月1日とする内容で臨時国会への提出を目指している。
泉氏は8日のエックスで「立憲民主党は先日、食料品消費税ゼロ法案を国会提出。実現を目指す」と表明し、高市氏に対して一緒に実現に取り組むよう呼びかけた。同党の本庄政務調査会長は「引き続き野党の消費減税の内容の一致点を見いだしていきたい」と述べ、他党との協力も模索している。
立憲民主党は参院選の公約で食料品の消費税率を最長2年間ゼロにする方針を打ち出しており、今回の法案提出はその公約実現に向けた具体的な行動となる。同党内では当初、消費税率の一律5%引き下げや給付付き税額控除の導入などの案も検討されたが、最終的に食料品に限定したゼロ税率案で党内の意見をまとめた。
自民・維新連立でも実現困難な状況
自民党と日本維新の会の連立合意文書には「飲食料品については、2年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行う」との文言が盛り込まれた。維新は以前から食料品の消費税2年間免税を主張しており、高市氏も同様の考えを示していたが、自民党内での反対論が根強く、実現への道筋は見えていない。
第一生命経済研究所の試算によると、飲食料品の消費税がゼロになれば年5兆円の税収減となり、片働き夫婦と子供2人の4人世帯で家計負担は平均で年間6.4万円減少する。しかし消費税収は社会保障費に充てられるため、財務省や自民党内の慎重派は「消費減税をするなら、社会保障の整備が薄くなる」と反発している。
高市氏は現在、自民・維新の連立協議で「輪が広がることを否定しない」としつつも、「やっぱり事業者のレジシステムですが…」と技術的課題を理由に慎重姿勢を維持している。党内の反対勢力との調整が難航する中、当初の減税への意欲は大きく後退している。