2025-05-23 コメント投稿する ▼
沖縄で宿泊税導入論が加速 観光公害の現実と県民の叫び
観光公害に悲鳴 沖縄で宿泊税導入が急務に
沖縄県では観光客の急増により、交通渋滞や騒音、ゴミの不法投棄、自然環境の劣化といった“観光公害”が深刻化している。那覇市や宮古島市など人気の観光地では、住民生活への影響が日に日に大きくなっており、地元からは「もう限界」という声も上がっている。こうした状況を受け、県は2026年度を目標に、観光客に負担を求める「宿泊税」の導入を検討している。
税収の目的を明確に “普通税”では不信感
5月23日に宜野湾市で開かれた観光税に関するシンポジウムでは、離島を抱える5市町村の首長や観光関連業者が集まり、制度設計の方向性について活発な議論が交わされた。中でも大きな論点となったのが、宿泊税を「目的税」とするか「普通税」とするかという点だ。
「目的税でなければ徴収には協力できない」と強い懸念を示したのは、宿泊施設を代表する業界関係者たちだ。税金がどのように使われるかが不透明な「普通税」では、地元の理解も得られにくく、観光産業の信頼を損なう可能性があるという。
遅れる制度化 観光客と住民の分断深まる懸念
県は現在、離島住民を課税対象から外すことなどを検討しつつ、制度の練り直しを進めているが、条例案の提出は先送りされている。調整の長期化により、当初想定していた2026年度の導入時期も遅れる見通しだ。観光と住民の共存をどう図るかという問いに、明確な答えが出ないまま時間だけが過ぎている。
一方、宮古島市の嘉数市長は「一部市町村だけでも先行して導入すべきとの声があるが、やはり県全体で統一的に取り組むべきだ」と強調。地域の足並みをそろえた制度導入が求められている。
ネットで広がる共感と疑問の声
SNS上でも、宿泊税に関する議論が活発に交わされている。
「観光で儲けるなら、それなりの負担も必要だよね。沖縄の自然はタダじゃ守れない」
「宿泊税導入に反対する業者、住民の気持ち考えてる?」
「旅行者が環境に与える負担を少しでも軽くするなら賛成」
「徴収した税金がどこに行くのか不透明だと、結局信頼されないよ」
「観光地の疲弊ぶり、現地に行って初めてわかった。沖縄に限らず全国で必要だと思う」
持続可能な観光地へ 地域が主導する税制改革を
観光が地域経済の柱となっている沖縄だが、その恩恵を受ける一方で、住民が被る負担は限界を超えている。宿泊税はその“負の側面”を緩和する手段として期待されているが、制度の設計を誤れば、観光産業の不信感や行政への不満を招きかねない。
観光客が安心して訪れ、住民も安心して暮らせる環境を守るために、地元の声を丁寧にすくい上げた制度設計が不可欠だ。宿泊税は単なる“新たな税収”ではなく、観光地の持続可能性を支える“共通ルール”として、一刻も早い導入と運用が求められている。