宇久島メガソーラー過疎対策か環境破壊か地域分裂深刻化国内最大級計画

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宇久島メガソーラー過疎対策か環境破壊か地域分裂深刻化国内最大級計画

長崎県の宇久島(うくじま)で国内最大級のメガソーラー建設が本格化し、過疎化が進む離島の未来をかけた議論が激化しています。 長崎県佐世保市(させぼし)の宇久島で、国内最大級のメガソーラー事業が2025年度の完成を目指して進んでいます。

長崎県の宇久島(うくじま)で国内最大級のメガソーラー建設が本格化し、過疎化が進む離島の未来をかけた議論が激化しています。

島の10分の1を覆う巨大メガソーラー計画


長崎県佐世保市(させぼし)の宇久島で、国内最大級のメガソーラー事業が2025年度の完成を目指して進んでいます。事業を手がけるのは、クラフティア(旧九電工)や京セラなど9社が出資する「宇久島みらいエネルギー合同会社」です。

パネル面積は約280ヘクタールと島の面積の約10分の1を占め、太陽光パネル約150万枚を設置する計画です。年間発電量は51万5000メガワット時で、一般家庭約17万3000世帯分に相当します。総投資額は約2000億円に上る巨大プロジェクトです。

宇久島の人口は2025年11月現在で約1579人まで減少し、この10年間で528人も減りました。人口減少と高齢化により島内には耕作放棄地が増え続けており、推進派の住民はメガソーラーによる土地活用と地域経済活性化に期待を寄せています。

「もう年で畑ができないから、メガソーラーで土地が活用されて助かる」
「島に仕事がないから、年をとっても雇ってもらえるのはありがたい」
「過疎化を止めるには、こうした大型事業が必要だと思う」
「耕作放棄地がきれいになって、景観も良くなる」
「島の未来のために、新しいことにチャレンジすべきだ」

専門家が警鐘を鳴らす環境リスク


一方で、環境への深刻な影響を懸念する声も強まっています。2020年に長崎大学が実施した全世帯アンケートでは737件の回答があり、約7割が否定的な見解を示しました。

河川工学が専門の熊本県立大学(くまもとけんりつだいがく)の島谷幸宏(しまたにゆきひろ)特別教授は「規模が非常に大きく、様々な影響が出る」と指摘しています。特に水循環への影響を強く懸念しており、「地面をソーラーパネルで覆うことは都市化と同じ現象で、雨が降った時の洪水量が2倍から3倍に増え、地下に浸透する量も減る」と説明しています。

2024年2月から3月にかけて実施された専門家による現地調査では、宇久島の多くの河川で氾濫が起こる可能性が非常に高いことが判明し、住民の生命財産を脅かす水害発生の恐れが指摘されています。島では生活用水の一部に地下水を利用しており、パネル設置により雨の地面への浸透が阻害され、地下水が減る危険性があります。

住民同意めぐる深刻な対立


市民団体「宇久島の生活を守る会」の佐々木浄榮(ささきじょうえい)会長は「美しい島の自然が壊されることが心配。自然を壊さないでほしい」と訴えています。同会は事業の白紙撤回を求めて活動を続けており、「住民への説明が不十分で容認できない」としています。

事業をめぐっては、2016年に宇久島選出の大岩博文(おおいわひろふみ)市議(自民党)がメガソーラー推進を求めて佐世保市長に現金100万円を渡そうとし、贈収賄の疑いで逮捕される事件も発生しました。同市議は宇久島メガソーラー事業の推進協議会会長を務めており、事業をめぐる利権構造の存在が浮き彫りになりました。

地域振興と環境保全の両立は可能か


工事の許認可権を持つ佐世保市の宮島大典(みやじまだいすけ)市長は「基本的に事業者が住民との話し合いをしっかりと行ってほしい。反対者の懸念する状況が法的なものを含めて抵触することがあれば、我々はしっかりと指導しなければならない」と述べています。

クラフティアは「災害リスクについては島谷教授の提言を受け、雨を浸透させる施設を作るなど防災計画の見直しを行っている」とし、「景観・環境への配慮と地域再生を両立させる事業」だと強調しています。地権者には年間1坪200円の賃料が支払われ、平均で年間40万円の収入となっています。

現在、工事は250人体制で進められており、宿舎の管理や食堂の掃除などで島民の新たな雇用が生まれています。事業者側は一部のソーラーパネルの下で牧草を育てることで、島の基幹産業である畜産業への支援にもつながるとしています。

しかし、反対派からは「住民同意が十分に得られておらず、拙速な開発は危険」との声が上がっています。全国再エネ問題連絡会や日本弁護士連合会も現地調査を実施し、河川氾濫の危険性などを指摘しています。

人口減少が進む過疎地域における地域振興と自然環境保全の両立は、宇久島だけでなく全国各地で共通する課題です。経済効果と環境リスクのバランスを慎重に検討し、住民合意に基づいた持続可能な地域づくりが求められています。

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2025-12-14 09:59:16(植村)

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