2025-12-03 コメント投稿する ▼
太陽光パネル工事で土砂流入、北斗市キャンプ場被害で事業者に厳しい対応へ
しかし、約1キロメートル圏内で進められている太陽光パネル設置工事により、2024年9月から3度にわたって土砂が小川やキャンプサイトに流入する被害が発生しています。 環境省の調査によると、太陽光発電事業における問題事例として土砂災害や濁水等がリスクの顕著なものとして報告されており、森林の保水機能喪失による災害リスクの増大が深刻な社会問題となっています。
太陽光パネル設置で土砂流入、北斗市キャンプ場への被害が深刻化
北海道北斗市の人気キャンプ場で発生している土砂流入問題が、太陽光発電施設の建設工事が原因であることが明らかになりました。池田達雄市長氏が2025年12月3日の市議会で公式に認めた事実は、全国で相次ぐメガソーラー開発による環境被害の深刻さを改めて浮き彫りにしました。
市営の「湯の沢水辺公園キャンプ場」は道内外の利用者に愛される無料のオートキャンプ施設です。しかし、約1キロメートル圏内で進められている太陽光パネル設置工事により、2024年9月から3度にわたって土砂が小川やキャンプサイトに流入する被害が発生しています。工事は道外に本社を置く事業者により2020年10月に開始され、総面積約10ヘクタールの森林に2万2860枚のパネル設置が予定されています。
「キャンプ場の川が泥だらけになって、子どもたちが遊べない」
「森を切って作ったソーラーパネルのせいで、毎回大雨が心配になる」
「無料で使えるいいキャンプ場だったのに、もう安心して利用できない」
「また土砂が流れてくるかもしれないと思うと怖い」
「太陽光発電は環境に優しいって聞いていたけど、これじゃ逆効果だよね」
行政指導に従わない事業者への対応強化へ
市は最初の土砂流入を受けて事業者に行政指導を行い、現状回復と恒久的な防止対策を求めました。しかし、今年8月と9月に再び土砂流入が発生したにも関わらず、事業者側の対応は不十分な状態が続いています。池田市長氏は市議会で「集中豪雨の影響に加え、事業者が利用している作業道から流入した雨水により水路が増水し、土砂がキャンプ場内に流入したと推測される」と原因を分析しました。
北斗市は林地開発の許可権限を持つ立場から、事業者が防止対策を講じない場合には中止命令や復旧命令など厳しい措置を取る方針を示しています。この問題は、森林法に基づく林地開発許可制度の実効性と、太陽光発電事業における環境保全対策の不備を露呈した事例といえるでしょう。
全国で相次ぐ太陽光発電による土砂災害
このような事態は北斗市に限った問題ではありません。全国各地で森林伐採を伴うメガソーラー建設により、土砂災害や水質汚染が多発しています。環境省の調査によると、太陽光発電事業における問題事例として土砂災害や濁水等がリスクの顕著なものとして報告されており、森林の保水機能喪失による災害リスクの増大が深刻な社会問題となっています。
林野庁は2023年4月に林地開発許可制度を見直し、太陽光発電設備設置を目的とした開発の許可対象規模を従来の1ヘクタールから0.5ヘクタールに引き下げました。しかし、制度改正後も各地で同様の被害が報告されており、より実効性のある規制強化が求められています。経済産業省も2024年4月から住民説明会の開催を要件化するなど対策を強化していますが、既存の工事現場での被害防止は喫緊の課題です。
再生可能エネルギーの推進は重要な政策目標ですが、地域住民の安全と環境保全を軽視した開発は本末転倒です。北斗市の事例は、太陽光発電事業における適切な立地選定と十分な防災対策の重要性を示しています。事業者には法令遵守はもちろん、地域社会との共生を最優先とした事業運営が求められており、行政による厳格な監督と指導の徹底が不可欠です。