2026-03-19 コメント投稿する ▼
経済安保推進法改正案を閣議決定、海外重要事業に国が損失負担する制度創設
政府は2026年3月19日、経済安全保障推進法の改正案を閣議決定しました。日本企業が経済安全保障上重要な事業を海外で展開する際に政府が支援する制度を新たに創設することなどが盛り込まれています。
2022年制定以来初の大規模改正
経済安全保障推進法は2022年5月に成立し、重要物資の安定供給確保、基幹インフラ役務の安定的な提供確保、先端的な重要技術の開発支援、特許出願の非公開という4つの制度を創設しました。今回の改正は、制定以来初めての大規模な見直しとなります。
改正案の柱は「特定海外事業」制度の新設です。日本企業が新興国や途上国で、港湾や通信インフラ、データセンターの整備などを行う際に、国が損失リスクを引き受けた上で出資する仕組みを整えます。
「また海外支援か」
「国内のインフラ整備が先だろう」
「中国の一帯一路に対抗するのか」
「リスクを国が引き受けるなんて税金の無駄遣いだ」
「経済安保は重要だが、国民負担が心配」
JBICが金融面で支援を担う
具体的には、政府系金融機関の国際協力銀行が金融面での支援を担います。JBICが劣後出資を行うことで、政策変更などのリスクが高い海外事業で損失が出た場合でも、政府がリスクを引き受ける仕組みです。
これまで経済安全保障上は重要な事業でも、採算が取れない懸念から企業が海外進出をためらっていた分野を後押しします。重要物資やエネルギーなどのサプライチェーンの強化を図る狙いです。
特に新興国や途上国でのインフラ整備では、中国が「一帯一路」構想のもとで積極的に進出しており、日本としても経済安全保障の観点から対抗する必要性が高まっていました。民間企業だけではリスクが高すぎる事業に対して、国が一定のリスクを負担することで、日本企業の進出を促す考えです。
サービスや医療機関も対象に
改正案にはこのほか、国が資金援助する「特定重要物資」の範囲を拡大することも盛り込まれました。海底ケーブルの敷設やロケットの打ち上げなどを念頭に、経済活動を支えるサービスに関わる民間企業の「役務」を追加します。
従来の経済安全保障推進法では、半導体や蓄電池、医薬品原料などの「物資」が対象でしたが、今回の改正でサービス分野にも支援の範囲を広げます。デジタルインフラや宇宙関連サービスなど、安全保障上の重要性が高まっている分野を支援対象に加えることで、より包括的な経済安全保障体制を構築する方針です。
医療機関をサイバー攻撃対策の対象に
さらに、サイバー攻撃の増加を受け、医療機関を国が対策を行う「基幹インフラ」に指定することも盛り込まれました。
これまで基幹インフラには、電力、ガス、水道、鉄道、通信などが指定されていましたが、医療機関への
サイバー攻撃が増加していることを踏まえ、新たに対象に追加します。医療機関のシステムがサイバー攻撃を受けると、患者の個人情報流出や診療業務の停止など、国民生活に重大な影響が出る可能性があるためです。
政府は今国会での改正案の成立を目指しています。経済安全保障をめぐっては、米中対立の激化やロシアによるウクライナ侵攻など、地政学的リスクが高まる中で、サプライチェーンの強靱化や重要技術の保護がますます重要になっています。今回の改正により、日本の経済安全保障体制がさらに強化されることになります。