2026-03-17 コメント投稿する ▼
日本版CFIUS創設へ、外為法改正案を閣議決定 技術流出防止を強化
政府は2026年3月17日、外国資本による日本企業への投資を省庁横断的に審査する新たな会議体「対日外国投資委員会(日本版CFIUS)」を設置するための外国為替及び外国貿易法(外為法)改正案を閣議決定しました。今国会に提出し、早期創設を目指します。安全保障上重要な技術や情報の流出を防ぐことが狙いで、自民党と日本維新の会の連立合意書にも創設方針が明記されていました。
米国CFIUSをモデルに省庁横断組織
日本版CFIUSは、米国の対米外国投資委員会(CFIUS)をモデルにした組織です。CFIUSは1975年に設立された財務長官を議長とする省庁横断組織で、外国企業による対米投資が国家安全保障に脅威をもたらすかどうかを審査します。2018年には外国投資リスク審査現代化法により権限が強化され、重要技術、重要インフラ、機微な個人データを持つ米国企業の買収審査が厳格化されました。
日本版CFIUSは、財務省と国家安全保障局が共同議長を務め、経済産業省や防衛省などが参加することを想定しています。投資案件の審査で、財務大臣などが必要があると認めた場合に、関係機関のトップに意見を求めることを義務付けます。
「やっと日本も本気になったか」
「中国の技術窃取を防げ」
「企業買収で安保が脅かされる」
「半導体技術が狙われている」
「遅すぎるくらいだ」
外国政府の実質支配企業も審査対象に
今回の外為法改正案では、外国政府の指示を受けて指定業種企業に投資する日本国内の投資家に、事前の届け出を求めることも規定します。これにより、外国政府が実質的に支配する企業による投資も審査対象となります。
現行制度では、外国投資家が日本企業の株式を取得する場合に事前届出が必要ですが、間接投資のケースが抜け穴となっていました。例えば、日本企業の株をもつ外国企業の株を別の外国投資家が取得する場合、株の「間接保有」として実質的に日本企業の支配権が移転しても、審査対象外でした。改正案では、こうした間接投資も事前審査の対象とします。
財務省の審議会は2026年1月7日、日本版CFIUS創設について「安全保障関連部局と協力して審査を行う省庁横断的な体制を強化することが適当だ」との答申をまとめていました。片山さつき財務大臣は答申を受けて「経済安全保障の観点から投資審査の実効性を向上すべく、現行の関係省庁会議を発展的に改組して新たな合議体を設置したい」と述べていました。
AI・半導体など17分野を重点審査
高市早苗総理は、対日外国投資委員会の創設に加えて、人工知能(AI)・半導体やデジタル・サイバーセキュリティーなど計17分野への官民による重点投資を打ち出しています。これらの分野を中心に、投資規制に関する取り組みが一層進むことが予想されます。
米国のCFIUSは近年、半導体、量子コンピューター、AI、ロボット工学、バイオテクノロジーなどの分野に着目しており、安全保障上の脅威につながる産業分野への外国投資を厳しく審査しています。日本版CFIUSも同様の分野を重点的に審査すると見られます。
現在も省庁横断の会議体は存在しますが、情報共有や審査体制が不十分との指摘がありました。日本版CFIUS創設により、財務省、経済産業省、防衛省、国家安全保障局などが連携して、重要技術や情報の流出を防ぐ体制が強化されます。
中国の投資攻勢に危機感
日本版CFIUS創設の背景には、中国による技術取得への危機感があります。中国企業や中国政府系ファンドによる日本企業への投資が増加しており、安全保障上重要な技術が流出する懸念が高まっていました。
米国では2018年以降、CFIUSの審査が厳格化され、中国関連企業による買収案件が相次いで阻止されています。前回のトランプ政権下では、中国の華為技術(ファーウェイ)と密接な関係があるとされたシンガポールの通信用半導体大手ブロードコムの米クアルコム買収が阻止されました。
日本でも同様の体制を整備することで、安全保障上のリスクがある外国投資を事前にチェックし、必要に応じて中止や条件付き承認を行う仕組みを構築します。ただし、外国投資を過度に規制すれば、日本経済の活力を損なう恐れもあり、経済安全保障と開かれた投資環境のバランスが問われることになります。
政府は今国会での外為法改正案成立を目指しており、成立すれば年内にも日本版CFIUSが発足する見通しです。日本の技術と情報を守る新たな砦として、実効性のある審査体制の構築が期待されています。