2026-03-15 コメント投稿する ▼
空襲被害者救済法案の行方 高市早苗首相に期待も1人50万円補償実現は困難か
高市早苗首相が就任後の国会で、政府として何かできるのかしっかりと考えていくと答弁したことから、実現を期待する声も上がっています。 空襲被害者の救済法案は、超党派の議員が作成したもので、1人50万円の補償を含む内容となっています。 超党派の空襲議連の幹部は、戦後80年という節目で実現できなかったのは非常に痛いと無念そうに語っています。
空襲被害者の救済法案は、超党派の議員が作成したもので、1人50万円の補償を含む内容となっています。しかし戦後80年を迎えた2025年、成立への機運が高まったものの実現には至りませんでした。超党派の空襲議連の幹部は、戦後80年という節目で実現できなかったのは非常に痛いと無念そうに語っています。
1人50万円の補償と調査・追悼施設
法案には、第2次世界大戦中の米軍による空襲被害者に対する補償として一時金50万円の支給に加え、国による調査の実施と追悼施設の設置が盛り込まれています。議連の試算によると、全国で空襲の被害に遭い身体にけがをした人を空襲被害者と認定した場合、対象者は約3200人で必要な財源は約16億円から20億円程度です。
空襲経験者でも外傷を負っていない人は対象に含まれません。議連の会長を務める平沢勝栄元復興相は、1人50万円の補償として計算すると必要な財源は約20億円と説明しています。
「戦後80年も放置されてきたのはおかしい」
「50万円で全てが償えるわけじゃないけど、国の姿勢が大事」
「他の戦争被害との整合性が取れない」
「財源の問題もあるし、慎重にならざるを得ない」
「生存者が次々と亡くなっている。一刻も早く」
国による調査や追悼施設については、議連の会合に出席した被害者から、国としてちゃんとした調査をしてもらえないとこの問題は終わらない、ここまでの被害がありながら公設の施設がないのはおかしいといった声が相次いでいます。
受忍論の壁と軍民格差
空襲以外の戦争被害の補償との整合性や、財政上・実務上の課題などから慎重な意見が根強く、法案の提出にも至っていません。自民党のいわゆる厚労族の議員は、認めると他の戦争関連の補償も認めないといけなくなる、財源の問題もあると指摘しています。
政府は戦後、雇用関係にあったとして旧軍人・軍属らに恩給や年金など総額約60兆円を支払ってきました。これに対し、民間人への補償は一部にとどまり、多くは対象外とされてきました。軍民の補償の格差は大きいと言わざるを得ません。
補償を阻む壁となってきたのが受忍論です。最高裁は1968年、戦争という非常事態で生じた被害は国民が等しく我慢するべきだとの考えを示しました。これは後の空襲被害の補償を巡る訴訟でも用いられ、国も同様にして民間被害の補償に否定的な立場を取ってきました。
石破政権から高市政権へ
実現に向けては、戦後80年の節目に首相を務めた石破茂氏に期待する声もありました。石破氏が議連のメンバーであり、また2024年の自民党総裁選の演説で何度も空襲について触れていたからです。石破さん本人と救済法案の実現を約束したと話す議連幹部もいましたが、結局在任中に事態が進展することはありませんでした。
石破政権でもできなかったのだから他の内閣では厳しいと、一時は悲観的な見方も広がりました。しかし高市首相は2025年11月の国会で、野党議員から法案について質問され、引き続き議員立法の動きを注視しながら政府として何かできるのかしっかりと考えていくと答弁しました。
また、議連で会長代行を務めている松島みどり元法相が首相補佐官に就任したこともあり、再び期待が高まる状況となっています。
ただ議連の幹部は、実現は困難との見方を示しています。高市さんも心情では理解してくれているが、どうしても優先順位が高い経済対策や外交などに労力を割かざるを得ない、内閣支持率が高いとはいえ党内の反対派と無理にけんかする意味もないだろうとの理由からです。
議連会長の平沢氏は、今後も集会を開くなどして議論が埋没するのを防ぎたい考えです。平沢氏は政府がやるとさえ言ってくれればこの問題は解決する話だとしています。
全国空襲被害者連絡協議会は、日本共産党の田村智子委員長らに対し、戦後80年放置されてきた民間人被害者の一刻も早い救済を訴えています。救済法は日本国内での空襲や沖縄の地上戦で障害を負い、かつ存命の人に一時金50万円を給付する内容で、被害の実態調査と追悼事業も盛り込まれています。
超党派の議員連盟が法案の確定稿を完成させましたが、厚生労働省と自民党の一部議員が反発し、法案の提出と成立まであと一歩のところで足止めされています。議連は秋の臨時国会など年内の成立を目指していますが、被害者の高齢化が進む中、時間との闘いが続いています。