2026-03-13 コメント投稿する ▼
高市首相が船舶護衛「何も決まっていない」と答弁、ホルムズ海峡自衛隊派遣に慎重姿勢、衆院予算委
高市早苗総理は衆院予算委員会で、ホルムズ海峡を含む中東地域に自衛隊を派遣して船舶を護衛する可能性について質問を受け、「何ら決まっていない」と述べました。米国とイスラエルによるイラン攻撃後、ホルムズ海峡が事実上封鎖状態となり、日本のエネルギー安全保障が深刻な危機に直面している中での発言です。
米エネルギー長官のライト氏は2026年3月12日、イランが事実上封鎖したホルムズ海峡を通航する民間船舶への米軍による護衛を3月末までに実施する可能性に言及しました。「比較的すぐに実現するが、いまはできない。単純に準備が整っていない」と語り、現時点では米軍はイランの攻撃から船舶を守る態勢が整っていないことを認めました。
「存立危機事態の認定は行っていない」
「米国から協力要請されていない」
機雷除去は「想定できない」
高市総理は2026年3月12日の衆院予算委員会で、イランがホルムズ海峡に機雷を敷設したとの報道に関連し、除去準備のために付近に自衛隊を派遣することは「想定できない」と述べました。来週の訪米を前に、中東での協力に関して踏み込んだ発言は避けた形です。
総理は正式な停戦合意前の段階で機雷を除去する行為について「武力の行使に当たる可能性がある」と指摘しました。一方で、遺棄されているなど外国による武力攻撃の一環として敷設された状態ではない機雷を自衛隊が除去することは可能だとも指摘しています。
木原稔官房長官は2026年3月11日の定例記者会見で、海峡での機雷敷設について問われ「重大な関心を持って情報収集を続けている。現在の状況が存立危機事態に該当する判断は行っていない」と述べました。日本の原油輸入の9割超は中東に依存し、原油を運ぶタンカーの大半がペルシャ湾への入り口に位置するホルムズ海峡を通過するとされています。
「法的要件が厳しい」
存立危機事態の高いハードル
存立危機事態は、2015年に施行した安全保障関連法で集団的自衛権行使の前提条件になりました。安倍晋三首相は当時の国会答弁で、海峡が封鎖された際の機雷除去は存立危機事態になり得ると例示していました。同法では米軍などの後方支援をする重要影響事態も新設されましたが、いずれもこれまで認定の例はありません。
自衛隊がホルムズ海峡周辺で何らかの行動をするならば、安全保障関連法に沿った3つの選択肢が考えられます。しかし米国のイラン攻撃が国際法違反との指摘もある中、日本政府は慎重な姿勢を崩していません。高市総理は2026年3月9日の衆院予算委員会で、自衛隊が米軍に後方支援を行うことを否定し、ホルムズ海峡での護衛についても「協力要請されていない」と述べています。
政府関係者によると、政府は2026年3月19日に予定される日米首脳会談で自衛隊派遣を求められるシナリオもひそかに検討しています。官邸筋は「高市首相は可能な限り協力したい考え」とも語っており、トランプ大統領から何らかのコミットメントを求められる可能性があります。
「日本の生命線が危機に」
エネルギー安全保障の危機
イラン革命防衛隊はタンカー3隻を攻撃したと表明しており、ホルムズ海峡は事実上封鎖されている状況です。日本郵船や川崎汽船などの国内大手海運会社も通峡を停止しています。原油価格高騰に伴いガソリン価格や物流コストなどが上昇して日本でもインフレが加速する恐れがあります。
日本政府は過去に集団的自衛権の行使が可能となる存立危機事態の認定例として、この海峡での機雷除去を挙げました。日本へのエネルギー輸送の生命線と言えるほど海峡は重要です。しかし法的要件が厳しく、また米国の軍事行動が国際法上問題視される中で、自衛隊派遣には慎重にならざるを得ない状況です。
政府は2019年末に中東への自衛隊派遣を閣議決定した際、海上自衛隊の活動地域に関して、イランに面し武力衝突の危険もあるホルムズ海峡とペルシャ湾は除外しました。派遣した自衛隊はオマーン湾やアラビア海北部、バベルマンデブ海峡東側の3海域の公海に限定して活動しています。領海での安全航行には主権を有する沿岸国が大きな役割を有するとの理由からです。
高市総理の「何ら決まっていない」との発言は、こうした法的制約と政治的判断の難しさを反映したものと言えます。今後の日米首脳会談でどのような要請がなされるか、そして日本政府がどう対応するかが注目されています。