2026-02-26 コメント投稿する ▼
日本の「情報力」は世界水準へ届くか?自民党が描くインテリジェンス改革の全貌
2026年2月26日、自民党は日本の安全保障を根底から支える「インテリジェンス(情報活動)」の機能を劇的に強化するための提言をまとめました。 今回の提言の背景には、日本の情報収集能力が欧米などの「同志国」に比べて見劣りするという危機感があります。
現在、世界情勢はかつてないほど不安定になっています。武力衝突だけでなく、サイバー攻撃や偽情報の拡散、経済的な圧力など、目に見えない形での争いが日常化しています。こうした中で、日本が自国の力で正しい情報を集め、独自の判断を下すための「情報力」を身につけることは、もはや避けて通れない課題となっています。
揺らぐ国際秩序と日本の課題
今回の提言の背景には、日本の情報収集能力が欧米などの「同志国」に比べて見劣りするという危機感があります。これまでの日本は、警察庁や外務省、防衛省などがそれぞれ独自に情報を集めており、組織の壁(縦割り)が情報の共有を妨げているという指摘が長く続いてきました。
国際社会で日本が自律的な戦略を立てるためには、他国からの情報に頼り切るのではなく、自前の「目」と「耳」を強化する必要があります。今回の提言は、日本の情報機関を世界標準、いわゆる「ファイブ・アイズ(米国や英国などの情報共有枠組み)」に比肩する水準まで引き上げることを明確な目標としています。
「国家情報局」の創設と縦割り打破
提言の目玉の一つは、情報機関の司令塔となる「国家情報局」の創設です。これは、バラバラに存在していた各省庁の情報を一か所に集め、分析し、首相に直接報告するための組織です。
特に注目すべきは、組織のトップや幹部ポストのあり方です。これまでは内閣情報調査室のトップを警察庁出身者が独占してきましたが、提言では特定の省庁に固定しないよう求めています。これにより、省庁の利害にとらわれない、より柔軟で専門的な組織運営を目指しています。また、省庁を横断して専門家を育てる教育制度の検討も盛り込まれました。
シギントとヒューミントの抜本強化
情報活動には大きく分けて二つの手法があります。一つは、通信や電波を傍受して解析する「シギント(SIGINT)」です。提言では、現代の安全保障においてこのシギントが圧倒的に重要であるとし、本格的な実施に向けた法整備を急ぐよう求めています。
もう一つは、人が直接相手に接触して情報を得る「ヒューミント(HUMINT)」です。これについては、外務省にある「国際テロ情報収集ユニット」の予算や人員を大幅に増やすことが提案されました。さらに、2027年度末までには、このユニットをベースにした「対外情報庁(仮称)」を創設する案も浮上しており、日本版CIAのような組織の誕生が現実味を帯びてきました。
スパイ活動防止と透明性の確保
今回の提言は、情報を集めるだけでなく、守るための対策にも踏み込んでいます。その一つが「外国代理人登録法」の導入検討です。これは、外国政府のために日本国内でロビー活動(働きかけ)を行う人物や団体に対し、登録を義務付ける制度です。これにより、不透明な影響力が日本の政治や社会に及ぶのを防ぐ狙いがあります。
また、情報機関が暴走しないための「ガバナンス(統治)」についても触れられています。海外の事例を参考に、国会議員や独立した監督官が情報機関を監視する仕組みを整えることで、国民の信頼を得ながら活動できる体制を目指しています。
連立政権が目指す「情報国家」への道
今回の動きは自民党単独のものではありません。連立政権を組む日本維新の会との合意に基づいたものであり、維新側も同日に独自の提言をまとめています。両党が足並みを揃えてインテリジェンス強化に乗り出したことは、今後の法整備を加速させる大きな要因となるでしょう。
自民党は今年の夏にも、スパイ活動を防止するための法律や、対外情報庁の具体的な創設案を盛り込んだ「第2弾」の提言をまとめる予定です。日本が「情報弱者」から脱却し、厳しい国際社会を生き抜くための真の「情報国家」になれるのか。高市政権の実行力が今、問われています。