2025-11-08 コメント: 1件 ▼
「おこめ券」で物価高対策? 高市政権の中途半端な施策に厳しい批判
「おこめ券」で物価高対策? 物価高対策として財政出動や減税は一刻の猶予も許されない状況にもかかわらず、政府が打ち出すのは場当たり的な「おこめ券」配布という小手先の対策でしかない。
政府が近日中にまとめる総合経済対策に、鈴木憲和農林水産相が提唱する「おこめ券」の活用を盛り込む方向で検討していることが11月8日明らかになった。重点支援地方交付金を拡充し、国の推奨する使い道として明記する方針だが、専門家からは「根本的な解決にならない」との厳しい批判が相次いでいる。
現在の物価高は明らかに数十年にわたる自民党の失策によるものだ。物価高対策として財政出動や減税は一刻の猶予も許されない状況にもかかわらず、政府が打ち出すのは場当たり的な「おこめ券」配布という小手先の対策でしかない。
政府関係者が「おこめ券」導入で合意
複数の政府関係者によると、木原稔官房長官と鈴木憲和農林水産相が11月6日に会談し、おこめ券活用について大筋で合意したという。象徴的な物価高対策として打ち出したい考えだが、実際には既存の重点支援地方交付金を使った自治体への推奨策に過ぎない。
高市早苗首相は「責任ある積極財政」を掲げているものの、初めて打ち出す経済対策がおこめ券という小規模な施策では、国民の期待に応える内容とは到底言えない。石破茂前政権が備蓄米放出によって米価引き下げを図ったことに農家などが反発していた背景もあり、農業票を意識した政治的配慮が色濃く出た形だ。
米価は現在、5キロ4000円を超える水準で高止まりしており、子育て世帯や年金生活者の負担感は深刻だ。しかしおこめ券という対症療法的な手法では、根本的な物価高解決には程遠い。
「またおこめ券とか訳のわからない券を配るの?本当に効果あるのかな」
「物価高で苦しんでるのに、コメだけ買えても他の食品は高いままじゃ意味ない」
「根本的な解決策じゃなくて、その場しのぎの対策ばっかり。もっと大胆な減税をやるべき」
「おこめ券配る予算があるなら、消費税下げる方が確実に効果出るでしょ」
「自民党の政策はいつも中途半端。本気で物価高と戦う気があるのか疑問」
鈴木農水相の「市場任せ」発言に批判殺到
鈴木農水相は10月22日の就任記者会見で、米価について「価格はマーケットの中で決まるべきもの」と述べ、価格抑制への取り組みを事実上放棄する姿勢を示した。その一方で物価高対策として「おこめ券」配布を提案するという矛盾した政策を展開している。
同相は農林水産省出身の元官僚で、山形県という米どころが選挙区だ。石破前政権で農水相だった小泉進次郎防衛相が推進した備蓄米の大量放出について「備蓄米は残念ながら出るスピードも遅いし、私は1回も備蓄米を見ることがなかった」と痛烈に批判していた。
しかし専門家は鈴木氏の政策を厳しく批判している。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「減反政策で米の生産量を減らして価格を上げて、補助金と高い小売価格の二重負担をさせている。さらにおこめ券を配るのは、国民にとって負担増でしかない」と指摘する。
経済ジャーナリストの町田徹氏も「おこめ券を配れば需要は減らず価格は下がらない。広く配布すれば、むしろ値上がりを助長しかねない」と危惧を示している。
自治体の先行事例も効果は限定的
一部の自治体では既におこめ券の配布が始まっている。東京都台東区は9月、区内の全約14万世帯にそれぞれ4400円分から8800円分のおこめ券を配布すると発表し、補正予算約9億5000万円を計上した。愛知県日進市も物価高騰対応支援事業として65歳以上の世帯におこめ券配布を実施している。
これらの事例は国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用したもので、政府は今回、この交付金を拡充して「おこめ券」を推奨メニューに明記する方向だ。しかし地方自治体の個別対応では効果は限定的で、全国規模での物価高対策としては不十分との指摘が強い。
一方で実用面でも課題が多い。スーパーチェーン「アキダイ」の秋葉弘道社長は「ちゃんと取り扱えるような仕組みを作ってからじゃないと、おこめ券をもらったけど、どこで使えばいいの?になっちゃう」と指摘し、流通業界での対応体制が整っていない現状を明かしている。
抜本的な減税こそが必要な対策
現在の物価高対策として最も効果的なのは、消費税減税という抜本的な措置だ。参院選で示された民意は明確に「減税」を求めており、小手先の対策ではなく大胆な財政出動による景気刺激策が急務となっている。
政府は今後、コメ以外の食品にも使える商品券や電子クーポンの形で推奨することも検討するとしているが、コメを前面に出さない可能性も浮上しており、政策の一貫性すら疑われる状況だ。
高市政権が掲げる「責任ある積極財政」が、結局のところ既存制度の小幅な拡充に終わるのであれば、国民の期待を裏切る結果となることは避けられない。真に国民の生活を支援するためには、消費税減税をはじめとした大胆な減税策の実施が不可欠だ。
おこめ券という象徴的な政策で物価高対策を行ったかのような演出をするのではなく、国民の負担を根本的に軽減する政策実行こそが政府に求められている。